前回は、「初期の明治政府は中央銀行がまだ設立されていなかった為に
直接紙幣を発行していた。だから国の借金という考えもなかった」と
国の借金の正体を書いてみました。
しかし前回の説明では疑問がいろいろ沸き起こってきたのではないか
と思われます。
おそらく一番の疑問は「国債の発行は借金ではない、自国通貨建ての
国債なら何も恐れることはない」と書いた事に疑問が黒雲のように沸き
起こってきたと思われます。
「それでは国債をこのまま発行し続けて借金(国債発行額)が国民の
金融資産である1500兆円を突破すればどうなるのですか?」
現実には戦争でも起こさない限り国民の金融資産を超えることはまず
ありえません。
何故なら政府が国債によって手に入れたお金を使うことによって再び
国民の手元に帰ってくるからです。そして再び銀行にあずけることに
なります。現に政府の借金(国債発行)が膨らむと同時に国民金融資産
も増えていっています。それ故「国の自国通貨建て国債発行(借金)は
国民の資産である」と言えるのです。
そして政府の発行する国債は市中だけで買うのでなく日銀が直接引き
受ければ政府はお金に困ることはありません。つまり国民と政府の間で
お金がぐるぐる回るだけなのです。
長期国債の「日銀引き受け」には国会の議決がいることになっていますが、
短期国債なら国会の承認はいりません。つまり市中の状況や銀行の行動
とは全く無関係にいくらでも国債を日銀に引き受けさす事ができます。
この流れは一見複雑に見えますが初期の明治政府が直接お札を印刷した
事と同じです。つまり国債を発行することは間接的にお札を刷ること
なのです。
ということは自国通貨建ての国債発行は借金でも負債でもありません。
同じ負債でも個人や企業の負債とは中身が根底から違うということが
分かっていただけたと思います。
それではなぜ財政法が長期国債の「日銀引き受け」を国会の議決がなけ
れば禁止したのか?もし「政府が何のためらいもなく国債発行を続けれ
ば、財政規律が緩み、無駄な支出が増加する恐れがある」と西欧先進国
は考えたのです。つまり極端なインフレを恐れたのです。
それならば政府の国債発行(通貨発行量)が適正かどうかは何を基準に
判断すれば良いか?もちろんインフレ率です。
日本は20年間デフレが続いています。これは明らかに「政府がもっと
国債を発行して円を供給しろ」というメッセージです。政府は減税して
国債を大量に発行しなければいけないのに逆に公共事業を半減して消費
税をアップしようとしています。
日曜日のテレビ番組「そこまで言って委員会」で三宅久之氏は「西欧で
は消費税は15%~20%、日本はまだ5%、このままなら日本は潰れてし
まう,消費増税10%は必要だ」と叫んでいました。三宅氏の政治的コメン
トではおおむね賛同していますが、このご老人は日本を破滅さすTPPも
賛成しています。経済に関しては老害だと言わざるをえません。
今までの話は、ややこしくしないために外国との取引を除外して思考
しました。もし地球上に日本という国しかなければ上記の単純な話で事
は済みますが、地球上には約200の国が存在して各国それぞれ自国通貨
を発行しています。
ここから少し日本から離れて世界の金融の流れ、金融の歴史を知らねば
理解することは難しいと思います。
北朝鮮という怪しい国ですら自国通貨を発行していますが、世界中の
誰もが北朝鮮の通貨では物を買うことはできません。ただの紙切れです。
北朝鮮が外国から物を買うには基軸通貨であるドルが必要です。
日本から買うときにはドルか円で支払います。だから以前はマッタケや
海山物を日本に売って円を手に入れていました。日本に存在している
朝鮮総連がパチンコで稼いだ円を北朝鮮にせっせと送金していました。
ドルを手に入れるには貿易で稼ぐ以外ありませんが北朝鮮は手っ取り早く
偽ドルを印刷しています。
このような偽札を作らさないためにも、また自国通貨を大量に刷って
暴走する歳出に歯止めをかけるために19世紀末には金本位制が国際的
に確立しました。
金本位制とは各国の中央銀行が保管している金と同額の紙幣を発行し、
金と紙幣の等価関係が保証されている制度です。
しかし1929年には世界大恐慌が起こったため、多くの国が金本位制
を離脱し、金の保有量とは関係なく通貨を発行する管理通貨制度に移行
しました。
第二次世界大戦後、アメリカは世界一の金保有量を誇っていたので、
米ドルが基軸通貨として金と並び,国際通貨になったため、再び金ドル
本位制(プレトンウッズ体制)が確立しました。
しかし1971年ニクソンは金とドルの兌換を禁止する声明を発し、金本位
制は完全に終焉を迎えました。貿易が増大し経済が膨れたために貨幣量
の制約では抗しきれなくなり、また有効な刺激策を打てずに不況が深刻
化したという認識が各国で一致したからです。
金本位制の縛りが無くなったアメリカは基軸通貨の強みでドルを際限
なく刷って超輸入大国になり、世界の総輸入額の20%近くを占めるまで
になりました。有難いことに、ドルは基軸通貨です。アメリカ政府は
ドルをどしどし印刷して、輸入代金を支払うことができます。
そのおかげでアジア諸国を中心にその他の新興国は対米輸出の増大で国
が発展し豊かになっていきました。06年まで5%超の成長を記録した
国は104ヵ国に達しました。このようにアメリカは世界中の国々を浮上
させる経済成長の大波を起こしたのです。
(長くなりますのでこの続きは次回にて)
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