米労働省が発表した11月の雇用統計は、失業率が8.6%と前月の9%
から改善し、ほぼ2年半ぶりの低水準となった(ワシントン ロイター)
ロイターによれば雇用は14万人増しで製造部門は自動車メーカーを
中心に2000人増し、民間サービス業が14万6千人と大きく増加
この数字が発表されたとたん米株価が上昇したが、アメリカの景気が
回復したなどと思わないほうがよい。
サービス部門は12月のクリスマス商戦のためのパートタイムで、製造
部門の2000人増しも臨時や派遣労働者主体の不安定で質の低い仕事だ
と推測されます。
グローバル化を成し遂げたアメリカ企業において生産は益々海外に
移行してしまった。アメリカの失業率は高くなることがあっても低く
なることなどありえない。
グローバル化を目指す企業の目的は、生産コストの削減だけでなく、
市場の拡大、資源の獲得、税金逃れ、通貨の変動その他のリスクからの
自衛などで生産はグローバル工場にほとんど移転してしまいました。
労働者を一番必要としている製造業がアメリカ国内から居なくなって
しまった。資本も技術も工場も設備も生産に関するほとんどすべての
要素が、海外に逃げてしまった。
つまり移転してしまったアメリカ工場はアメリカ経済になんの利益も
もたらさなくなってしまいました。
例えば熟練のいらない低技術で生産できるグローバル企業のNなど
はインドネシアのGDPや雇用に多大の貢献をしたが、中国からはるかに
安い賃金や税金免除を提示されると、一夜にして移転してしまいました。
結果インドネシアの労働者は突然路頭に迷うことになります。
なんせ一巨大工場の工賃の総額より、ターガーウッズに払う肖像権の
方が高い、
このようにアメリカ企業、アメリカ資本、アメリカ製品、アメリカ技術
といった概念がまったく意味がなくなってしまいました。
資本主義は国家というシステムの中で発展してきました。海外に進出
する企業があっても支配権はどこまでも本国にありました。ところが
本社まで海外に移転してしまうとアメリカ企業という概念そのものが
意味をなくしてしまいました。
つまり国家を基盤にした経済システムは、急速にグローバル経済の
方向へと姿をかえてしまったのです。
アメリカ企業は自国を平気で捨てて、無国籍のグローバル企業になって
しまった。「流れ者に女はイラネエ~」という言葉のようにアメリカ
企業は「流れ者に国はイラネエ~」になったのです。
今や、グローバル企業の約300社の企業が世界中の生産資産のほぼ
25%を占めています。グローバル企業の富は多くの小国の資産額を
はるかに超えています。
そしてアメリカの場合製造業は元より金融市場がグローバル化し、
外国為替市場では1日あたりの通貨取引総額はおよそ2兆ドル
(03年時点)1年間で見ると通貨取引で取引される金額は先進工業国
全体の工業製品総生産額の20倍以上に相当すると言われています。
世界の大量の余分なマネーが地球を駆け巡っては、次々場所を変えて
注ぎ込まれます。世界中を移動するマネーが大量に増えたのは、多くの
政府の規制緩和や規制撤廃が主要な原因です。
さて話をアメリカの製造業に戻します。アメリカでは製造業の雇用は、
30年の間に、ほとんど消えてしまった。しかしオバマ大統領は200万
の雇用確保を約束しました。
この雇用確保を図るために、目を付けたのが日本というわけです。
日本にTPP参加を実現させ、日本政府に対して参加国と同じルールに
するのがフェアだと迫り、労働法制や労働慣行の撤廃、改善を求めて
米国の失業者であるマイノリティーを大量に送り込んでくるつもりです。
受け入れる企業が日本には無いと安心してはいけません。米国企業
の現地法人を作り日本中心の販売攻勢をかけたり、娯楽部門や介護
や看護士まで手をだしてきます。国家試験は英語OKを迫ります。
日本の労働市場を米国人のマイノリティに奪われるだけでなく、環太
平洋諸国から日本に仕事をもとめて労働者がどんどん押し寄せてきます。
結果TPP参加はたんなる自由貿易上の問題にとどまらず、治安が極度
に乱れることになります。
この経済のグローバル化はただ生産物やマネーの流れが国境を超える
だけでなく失業者まで国境をやすやすと超えてくるのです。
世界同時不況の進行で世界は大量失業時代に突入しました。
野田首相殿、TPPに参加して外国の失業者まで面倒を見るつもり
ですか?
