竹中平蔵氏は産経新聞で「TPPは、交渉参加が当然であり、日本は
これ以外の選択はありえない、自由貿易が国民全体に大きな利益を
もたらすことは、アダム・スミスの国富論以来、世界が経験してきた
共有の理解だ」「同盟国米国が関与するTPPの交渉への参加はごく
自然な選択であろう」と述べています。
竹中氏は今世界中で起こっている経済危機や格差の拡大の原因をまる
でわかっていない。30年前正しかったことが今も正しいとは限らない。
TPPを単なる経済連携協定として捉えるからアメリカ(利益集団)の
政治的意図がみえないのです。
TPPの根幹はグローバリゼーションの思想です。経済危機に直面した
国々は、まさに規制を伴わないグローバル経済の犠牲者なのです。
30年前ロックフェラーは「人類全般にわたる利益は、自由市場の力が
国境を超えることができるという経済条件のもとでこそ、最も十分に
満たされていく」と宣言しました。
各国の企業人、政治家、経済学者たちはまるでこの言葉の魔術に誘導
されたように、なぜか、「全ての国は、多角的な自由化によって利益を
得ることになる」と信じてしまった。
そして誰もが規制撤廃や自由化は経済にとって必要であり、必然的で
あるという考えが当たり前になってしまった。
多くの国で、規制を伴わないグローバル経済は、地域社会や国で、企業
誘致競争へとかりたてることになり、そこでそれぞれが労働工賃や環境
全てを他より下げようとするコスト競争を生んでしまった。
その結果、労働者階級の生活は衰退の一途をたどり、底辺にいる人たち
はそこからはい上がれないままになってしまいました。
グローバル化によって全ての自由化が国境を超えたことによって、関税
や補助金その他の人為的障壁は取り払われ、力のある効率の良い世界的
企業だけが生き残ることになり、労働工賃がますます引き下げられる
ようになってしまいました。
まずTPPを仕掛けてきているアメリカ社会の現実をよく見てください。
富む者はかってないほど富、その一方で労働者階級の悲惨な姿、大学
を出てもその大半は親と同じ中流階級の生活すら手にすることができ
ません。
アメリカ経営哲学と日本企業の哲学とは大きな違いがあります。アメ
リカでは、企業は営利を目的とするものだから利益拡大を目指すのは
当然の正義です。だから企業は工場を儲かる場所に移し、儲からなけ
れば簡単に閉鎖します。
もちろん日本でも企業は利益の拡大が目的ですが、企業規模の拡大や
雇用の安定も企業経営の重大な目的であり、そのために株式配当を
抑制したり、経営陣の給料もアメリカのように極端な事はありません。
それともう一つ大きな違いは、日本のグローバル企業の本籍地はどこ
までも日本の一部であり、支配権は当然日本国です。
ところがアメリカ企業は籍はアメリカにあっても、アメリカ経済に
よって運命を左右されないどころか、アメリカという国を支配して
アメリカのルールを変更してしまいました。
例えば
①企業が、従業員の医療保険や年金給付の削減あるいは打ち切りを
できるようにした。
②中流階級に重い課税体系を創出した。
③低賃金の仕事を創り出した企業に対して、助成金を与えた。
④事業を海外に移した企業を優遇した。
このようにアメリカを支配している企業がルールを書き換えてしまった
のです。
このことによって 富の移動はますます富裕層へ移り、中流階級は
貧困層に落ちていきました。
TPPの交渉相手は星条旗を掲げていても、アメリカという国ではあり
ません。アメリカに籍を置いている超国家組織(利益集団)です。
TPPにおけるオバマ大統領や政府高官は超国家組織の手先だという
認識を持つ必要があります。
TPPにおける彼らの目的は貿易自由化のみならず、日本のルールを
変更することが最大の狙いなのです。彼らから見れば日本は宝の山
です。
日本の識者の皆様、TPPには日本の国体まで変えてしまう陰謀が隠さ
れていることが何故見えないのですか?
TPPに加盟すればいつの日か、わが国の豊かさをそこない、わが国の
繁栄をくじくことになってしまいます。
TPPは危険であると何回も何回も断言します。
