小林よしのり氏の「緊急警告・TPPに参加してはならない」という
「ゴー宣道場」のYouTubeを貼っていただき感謝申し上げます。
「TPPは貿易という名を借りた経済侵略、TPPはグローバリズムの手
段、TTPとは、戦争という手段を使わず、アメリカが世界侵略するた
めのもの」という警告は大変参考になりました。
特に「TPP導入は日本の国家主権がほとんど用をなさなくなる」
「TPPは日本の文化・慣習が改造されかねない」という主張には恐怖
さえ感じてしまいました。
小林氏は「アメリカがグローバリズムの方向に日本を持って行こうとし
ている、どうやってくい止めたらいいのか」「経団連、マスコミ、政治
家のトライアングルが空洞化の危機感を煽って世論をTPP賛成、つまり
グローバリズムの方向に日本を持って行こうとしている」という主張
に対して今日は冷静に分析してみたいと思います。
大筋では小林氏の主張は間違ってはいませんが、日本人の特徴である
「被害者意識」が強烈にでています。日本人はアメリカの要求に対し
て常に無理難題を押し付けられたと考えてしまいがちです。
だからTPPもまた、アメリカの要求する国際化の延長線上で捉えていま
す。過去日本はアメリカの要求に対して国際化、グローバリゼーション
という名を借りたゴリ押しに苦労を強いられてきました。
もちろんアメリカは自国利益のためにグローバリズムを日本に要求
したのですが、しかし結果的にはアメリカは日本を経済的強国にして
しまいました。
アメリカからの押し付けられた多くの義務を果たす度に日本経済は益々
強くなり日本企業は世界に飛躍して行ったのです
今回のTPPに対しても「単なる関税だけの問題ではない、建築、医療
労働力まで自由化になり日本はアメリカの思い通りになってしまう」と
いう考え方は30年以上前の日米関係です。
日本はそんなに柔ではありません。ただ一番の心配なのはTPP参加で
外国から安い労働力がやってくることで、日本の雇用が失われるという
よりむしろ治安の悪化が心配です。
食料品では牛肉のBSE問題や、残留農薬の規制緩和、遺伝子組換えなど
の問題がありますが、TPP参加会議で話しあえば少しは緩和される
可能性はあります。
このようにTPPの個々問題には多くの懸念が内在していますが、しかし
このような被害者意識に基づく単純な考え方は、世界における日本の
立場を益々悪くしていくように思われます。
小林氏が「アメリカはグローバリズムの方向に日本を持って行こうと
している、どうやって止めたらいいのか!」と嘆いていますが、それ
どころか日本は今までグローバリゼーションを生み出す勢力の一角を
しめてきたのです。
アメリカを中心に主要先進国がグローバリゼーションの潮流をつくり
出しましたが、その恩恵を一番受けたのが実は日本です。
戦後日本はグローバリゼーションの大波に乗って日本企業の多くが
外国市場に堂々と入っていくことができました。
日本が戦後の悲惨な状況から這い上がった1950年代にはすでに外国に
太刀打ち出来る工業力を持っていました。もし外国がどこも貿易に
対しても閉鎖的ならば、日本の工業力は宝の持ち腐れになり経済大国
にはなっていませんでした。
例えばイギリスとオランダの造船業界は日本の納品スピードと技術力に
対抗できなくなり、何百年にもわたって堅実な収入源として誇っていた
造船業を失いました。ドイツのカメラもアメリカの電化製品も壊滅状態
に追い込まれました。
自動車は世界市場を征服し、世界の自動車産業地図を一変させました。
フランスでは日本製のコピー機が席巻し日本からの輸入を停止したが、
結局、グローバリゼーションの波には勝てませんでした。
昔フランスの公邸の隣で工事が始まり基礎工事で掘削機の音がうるさ
くて会議もできない状況でした。ところが工事が続いているにも関わ
らず突然その音が止んだのです。
不思議に思ったミッテラン首相は側近に聞いたら、「掘削機を日本製に
代えることで音がなくなり工事も早くなりました」との報告を聞き
あらためて日本の技術力に驚嘆したそうです。
アメリカはもの作りを日本に任せて金融業とITに特化せざるをえませ
んでした。イギリスも然りです。ヨーロッパ全土でどれくらいの日本
企業が進出しているかその数字のデーターは持っていませんが、イギ
リスだけでも日本企業が大小あわせて300近くも進出しています。
つまり日本をグローバリゼーションの犠牲者と見なす事がどれほどばか
げているか理解できたと思います。
日本人のメンタリティーは、犠牲者としての日本人であり、さらに
外国から常に脅かされている「か弱い国」であると思っています。
日本人は、極めて根深いメンタリティーの持ち主です。
もちろん常に外国から脅かされていることは紛れもない事実ですが、
しかし日本が世界やアメリカにもたらした経済的変化を考えるなら、
日本が同盟国アメリカの言い分に少しは妥協する必要があるのではない
かと思います。
経済的視点からすれば、日米両国は相互依存関係にあり、それによって
お互いに利益を共有してきた間柄です。
もしこのTPPに中国が参加しているなら、多くの犠牲を払ってでも拒否
すべきですが、しかしアメリカは現在同盟国です。危険な隣人に囲まれて
いる日本にとってアメリカの軍事力は日本人の防弾チョッキです。
アメリカが輸出を倍に伸ばしたいなら日本はアメリカの原子力潜水艦を
買いましょう。手持ちのアメリカ国債で何隻でも買います。核付きなら
もっと良いです。両国の幸せの為に・・・・・・
