今日も経済について考えてみます。多くの人達の最大の誤解は、
「国の債務」と「個人の債務」を混同して考えるから正しい答えが
出てこないのです。
国の経済問題にかんするトークショウや議論の中で大部分の政治家
や経済評論家たちの多くが「国の債務」と「個人の債務」を同じ
感覚で論じていることに唖然とします。
「個人の債務」については誰でも重荷と考えています。もしも職を
失えば食べ物を確保したり家賃を払ったりするために、借金をしなけ
ればなりません。つまり債務とは個人にとって苦しい状態なのです。
しかし「国の債務」は経済的苦境の物差しではないばかりか、
それと何ら明確な関係もないということを、解き明かしていきたい
と思います。
まず国家とは何ですか?辞書を引けば「国民の信託に基づいて国の統治・
運営が行われ、その為に国民は、政府を国民自身の考えに基づいて機能
させる」と書いてあります。簡単にいえば国民のサービス機関です。
つまり国民という集団は安心して暮らすためにルール(法律)を作り、
そのルールを作成、施行さすために公務員が存在するのです。
もちろん公務員の仕事は多岐に渡っていますが、ここでは選任方法が
選挙である公務員について考えてみます。国家の機能は行政、立法、
司法の3つですが、その内の行政府について、政府の経済的役割に
しぼって考えます。
それでは経済学における政府の経済的役割とは、何でしょうか?
資源配分の調整(公共財・サービスの供給)、所得の再配分(累進課税・
社会保障)景気の安定化などの役割が浮かんできます。
これらの仕事をさすために国民は会費(税金)を払ってさせているの
です。しかしこれらの仕事は膨大なカネが必要です。会費だけでは足り
ません。
そこで政府はサービスを充実させる為に国債(借用書)を発行して
国民からお金をかります。時には日銀に国債を買い取らしてお金を
調達します。日銀から調達するということは政府が間接的にお金を
印刷したことになります。
その総金額が国民と日銀を合わせると900兆円なり、国の債務と
個人の債務の違いの分からない政治家や評論家は、「政府はその債務
を完済できないだけでなく利息も払えなくて破産してしまう」と
騒いでいますが、馬鹿げたことです。
政府がその債務を自国通貨で支払いができないなどあり得ません。
必要なお金は簡単に印刷することが出来ます。つまり日銀に国債を
購入させればいいだけの話です。
このようなことを言えば必ず「インフレになる」と反論されますが
現実は強烈なデフレです。
日本の債務の95%はすべて日本自身の通貨、つまり円での借金です。
言い換えれば、我々は円で元利いずれもの支払ができます。そして
政府と日銀は日本が必要とする円はいつでも創りだす事ができます。
日本国内で保有されている95%の国債の内訳は、日本銀行、ゆうちょ
銀行、かんぽ生命、公的年金、年金基金、政府系の銀行の所有だけで
60%近くもあります。つまり民間の銀行や保険会社、個人などの所有
は40%です。ここに、国家財政破綻に追い込まれた世界の国々との
根本的な違いがあります。
世界で財政危機に陥った国は、ロシア、アルゼンチン、韓国、最近で
はギリシャなどがありますが、これらの国々は国債を海外の金融機関、
投資ファンド、外国企業などに買ってもらっていたために、国の
台所事情がおかしくなったら、国債を売られたり、投資していたお金
を引き上げられたりしたために、財政破綻に陥ったのです。
日本は優秀な企業が頑張ってドルを稼いでくれていたので、海外から
借金しなくてもやって来れたのです。
それと日本政府は外為特別会計には100兆円ほどの金額があります。
年金の積立金も150兆円ほどあるが、こんなに積み立てている国は
他にはありません。
その上日本は、世界一の債権大国です。GDPは500兆円ですが、それ
と同じ500兆円も世界中に貸しています。
元日本の財務官僚であった高橋洋一氏は「国には総計で500兆円以上の
資産がある、そのうち150兆円ほどは売れない実物資産だが残り350兆
円は売却が可能なものです」とテレビで語っていました。(確認のデー
ターは取れていません)
また高橋氏は「現時点で日本の国債は心配しすぎる必要はない。だが
現在の民主党のような無茶苦茶な政策を,もし10年もやられたら、
それはアウトになるかもしれない」と言っていました。
このように世界でも類のない大金持国日本なのに、「日本は大借金国
であるとか、日本は貧乏だとか、日本は破綻する」などの相変わらずの
話ばかりしています。
政治家や評論家は必ずデフレからの脱却と言いますが、具体的な方法
を聞いたことがありません。デフレの最大の要因は経済評論家たちが
テレビで「日本は世界最大の債務国」と言い過ぎるから、日本が破産
しつつあるという見通しを国民一般に与えてしまったからです。
その上年金受給額が年々削られ,終いには破綻してもらえなくなるなど
の嘘を主張されれば国民は将来に備えて消費を控えて、貯金を増やす
努力をします。デフレになるのは当然です。
しかしながら債務は結局のところ円建てなのだから、日本が破産という
見通しは無意味です。逆に日本は「世界最大の債権国」と真実を言うべ
きです。
国内でほとんど消化されている日本国債が変な危機に陥る危険性は、
そもそも低いです。なのにトンチンカンの格付け会社ムーディーズが
日本国債を格下げしました。
格下げしたにもかかわらず、何の影響も受けなかったどころか10年
物の金利が下がっています。だから前回のブログでムーディ-ズの
事を思わず笑ってしまったのです。
