前回のブログで「韓国経済は中身のない空洞産業」と書きました。
前回の余韻を引きずったまま韓国で体験した不思議で危険な出来事を
書いてみます。
韓国でビジネスをすることによって多くの知り合いが出来ました。
それ故、海に中へと沈んでいく韓国船の実情をあからさまにするには
少し筆が鈍ります。
韓国での私の知り合いは比較的教養のある地位の高い人達が多いです。
役人、会計士、政治家、弁護士、企業人、司法書士、等、何もこの人達
を選別して付き合っているのではありません。企業が外国に進出すれば
必然的にこの人達の力が必要になってきます。
この人達と食事をしたり酒を酌み交わしたりして日本や韓国、世界の
経済について、情報を交換しています。
韓国のマスコミは過剰な自国賛美でまるで自分たちは世界の列強に
伍する超大国になった如く報道していますが、KOTRA(大韓貿易振興公社)
のエリート役人は「韓国のマスコミは馬鹿だ、何も知らない」と言って
軽蔑しています。
10年くらい前KOTRAから講演依頼を受けました。KOTRAの担当役人
が言うには、「毎年韓国に進出している企業に講演を依頼しているが、
話が面白くない、ところがあなたの話は面白くて世界が見える」と
言ったので、私の話は酒の上での話です、だから無責任な話ですと一度
はお断りをしましたが、結局友達を失いたくないので引き受ける羽目に
なりました。
彼の話によれば「今回の私の講演の内容はKOTRAが出版予定している
日本特集号に載せます」と言われ少しビビリました。
講演のタイトルは「日本文化とビジネス」でサブタイトルは「日本
市場分かって攻略すればいっそう易しくなる」です。
日本特集号の項目は、①日本人と韓国人、②日本文化の理解、③日本
市場の理解、④日本で通じる商品、等だったように記憶しています。
つまり彼らは日本市場進出のための成功キーワードが知りたかったの
です。私は無難なところで「韓国人と日本人の性格の違いについて」と
題して講演しました。
その中で韓国人の発展を阻害している最大の要因は中国から入った
朱子学の呪縛から未だ抜け出さないまま今日を迎えた事です。
そして地政学的に、巨大な中国の圧倒的な干渉下での我慢の歴史、国家
を保持するには中国に依存し、全面的に中華思想を受けざるを得なかっ
た苦難の歴史が韓国人の性格を形成したように思われる」
日本人については「日本人の性格を形成した大きな要因は大和魂や武士
道を土台にした価値観です。簡単にいえば「嘘をつくな」「正直であれ」
「思いやりを持て」「卑怯なことをするな」「約束を守れ」「勇気を持て」
「弱いものをいたわれ」、そして常に「公平公正」であれと教わってき
ました。そして精神のバックボーンにあるのはいつも恥の文化です。
このようなことを中心に1時間30分もかけて喋りました。最後に
質問を受けることになり「韓国企業が日本市場で成功するためにはどう
すればよいか教えて欲しい」と質問され、一瞬頭が真っ白になりました。
そこで嫌われることを覚悟に本音を喋りました。「日本は常に新製品を
作り出す事によって、国際市場において正当な値で売ることができるが、
韓国は先進国の製品を猿真似式に生産しているだけです」
「だから日本市場で成功するには独自の技術基盤を構築しない限り無理
です。いくら日本文化や日本人を理解する努力をしても意味がありま
せん」とキツイことを言ってしまいました。
このまま終わると友達を無くしてしまいそうなので、付け加えました。
「韓国のテレビドラマや映画は日本やアメリカの影響を受けているので
何の違和感もなしに日本市場に食い込めます」と無理やりごまをすり
ました。
それから直ぐに翌年日本のテレビに「冬のソナタ」が放映され韓流ブー
ムに火がつきました。偶然とはいえ不思議な気持になりました。
これも韓国での思い出話ですが、2006年にKOTRAの手引きで無理やり
忠清南道へ連れて行かれ、知事候補にあってほしいと言われました。
観光のつもりで来ていたので何故知事候補にあうのか理解出来ないまま
彼にあいました。
知事候補は「今から会見場にお連れします。そこで記者たちの前で調
印式をして欲しい」
私は何のことか分からず同行したKOTRAの高官に説明を求めました。
彼の説明によれば「忠清南道内の外国人専用工団の造成時に1千万ドル
規模でバイオ美容化粧品の製造投資に関する了解覚書(MOU)を締結
する調印式です。
ナヌー、そんなことは聞いてない、と大きな声を出したら役人は笑い
ながら「選挙用のパフォーマンスです、正式の契約書ではない単なる
覚書(MOU)です、心配要らない、知事候補に協力してやって欲しい。」
と言われしぶしぶ会場に同行しました。
会場になっているホテルの一室に行きますとライトがこうこうと照り、
カメラマンや記者、それにテレビカメラまでセットされていました。
シマッタ、はめられた、もう逃げることができない、役人は「彼が知事に
当選するために、外国企業を誘致出来る人脈も力もあることを住民に見せる
必要がある。その為の調印式で覚書にサインするだけのことだから効力は
まったくない、だから安心して調印してください」と私の耳元でささやき
ました。
しかし覚書(MOU)にしてはあまりにも立派な表紙、まるで首相同士が
かわす外交文書のように重重しい「了解覚書」です。
(長くなりますのでこの続きは次回にて)
