前回の続きです。
中国のバブルが崩壊すれば、中国自身に危害が及ぶだけで無く、
世界中に連鎖反応を引き起こします。
中国の経済を考える場合、過去の経済の論理で考察しても正しい答え
は見えてきません。何故なら経済の常識が全く通用しない上に中国
が発表している数字は全て粉飾されているからです。
GDP生産量や失業率も国防費も、つまり中国の経済統計は全て水増し
されています。このような怪しげな経済統計をいくら眺めても中国経済
の実態など分かるはずもありません。
しかし不動産バブルだけは誰の目にもはっきり見えます。中国不動産
バブルは過去どこの国ですら見たことのないほど膨らんでいます。
北京、上海、広州などのマンションは信じられないことに2億~8億も
します。不動産投資収益の高さが富裕層の個人や不動産とは縁もない
会社まで不動産投資にどんどん参入しています。
企業や富裕層だけでなく年収100万~200万くらいの中間層と言われて
いる人たちも不動産投資に走っています。お金を貸す銀行も本人の
年収を調べもせずに2億の物件にローンをおろします。
物件を手に入れた人たちは直ぐにその物件を抵当にしてまた次の物件
のローンを組みます。いまの中国の中間層には、マンションを3戸
くらい持って、売ったり買ったり常に転がしています。
結果中国の大都市ではマンションの空き室が5千万戸もあるといわれて
います。新築のマンションは夜になっても全く明かりがつかない、
つまり投資用で誰も住んでいないからです。
この異常な不動産バブルの一方で消費者物価指数は2010年通年で前年比
3.3%上昇、特に食品は7.2%上昇、と発表されていますが、実際は物に
よれば2倍~5倍にもなり、庶民を追い詰めています。
中国政府はインフレと不動産バブルを恐れて、利上げなどの金融引き
締め策に転換しましたが、バブル崩壊を延命さすために銀行の無茶苦茶
な融資には目をつぶっています。中国政府はインフレ退治をしないと
中東諸国のような革命が勃発することを恐れています。
まさにハムレットの心境です。中国政府には打つ手はありません。
13億の怒れる人民を共産党はどう鎮めるか,中国得意の暴力で沈黙さ
せる事になります。
銃の引き金を引くことに躊躇しない武装警察部隊は怒れる国民を簡単
に制圧します。結局中東のような国民的な革命は起こりません。しかし
中央政府が内部抗争でコントロール不能になれば、それぞれの地方政府
を支配している軍閥が暴走するかもしれません。
以前解説したように中国には7つの軍閥が存在しています。これらの
軍閥が中央政府から離反して好き勝手を始めます。中国の定番である
戦国乱世「三国志」のはじまりです。
「中国の自滅」アメリカは静かにその時を待っています。
