毎日混乱が続くエジプト情勢が気になって仕方がありません。
1月15日にチュニジアの政権が崩壊して以来エジプト、イエメン、
ヨルダンで反政府運動が勃発しています。このまま行けば3カ国とも
政権が崩壊してしまいます。
毎日ニュースを追っていますが、不思議と親米政権国で反政府運動が
強まっています。ここに至ってついにもう一つの親米国であるサウジ
アラビアまで反政府デモが起こってきました。
この一連の流れを推測するには私の持っている拙い中東の知識では
不可能ですが、とりあえず考えてみます。
まず考えられる事は、アメリカがオバマ大統領になって、対話路線と
非暴力を重視しだした結果、中東におけるアメリカの影響力が急速に
減退した事です。
アメリカは世界に対して常に「民主化」を求めてきました。しかし
アラブ諸国に対しては独裁を容認してきたのです。なぜならアラブ諸国
では民主化運動と反米は一体化するからです。
アメリカはこのような偽善戦略を取らざるを得なかった理由は、石油
利権とイスラエルの養護が目的です。アメリカの金融業界を牛耳って
いるユダヤ人の国であるイスラエルを守ることを主に中東政策を進め
てきました。
もともとエジプトはアラブ諸国の中心で、アラブ諸国を統合して、強力
なアラブ勢力になっていくはずでした。しかしアラブが一大勢力に
なればイスラエルが危ない、そこでアメリカはアラブ諸国の分断を図り
ました。
エジプトやサウジアラビアを中心にして巨額の援助金で釣り親米国家に
変えていきました。親米国家にしていくには民主国家より独裁国家の方
が都合がよい。なぜなら多くの一般大衆より権力者を篭絡するほうが
より簡単だったからです。
イスラエルにとってエジプトが親米国家でいることは後ろからの攻撃を
気にしなくてよかった、アメリカも要であるエジプトに毎年多額の援助
を与え、強力な米国製兵器を供与してきました。
そしてアメリカは1979年アラブ国家では初めてエジプトとイスラエル
に平和条約を締結させました。
そのエジプトは親米のムバラク大統領を国民の大規模デモによって退陣
させました。これによりイスラム主義勢力がエジプトを支配していき
ます。
これまでエジプトとイスラエルは核開発をすすめるイランを共通の敵と
してきましたが今度はイスラエルにとってエジプトも敵になって
しまったのです。
今後 イスラエルは全て「反ユダヤ国家」に囲まれて暮らさなければ
ならなくなり、枕を高くして眠れなくなったのです。
オバマ以前のアメリカならイスラエルの配慮から決して盟友のムラバク
氏を見捨てるような事はしなかった。
ところが建前と本音が区別できないオバマ民主党政権は「エジプト国民
の不満は正当なものであり、ムラバク政権は退陣すべきであると表明」
その上「それが行われない場合、エジプトに対する年15億ドルの軍事
支援を凍結する」と言ってしまった。
これでますますイスラム主義勢力が勢いを増してきました。つまりイス
ラム勢力は「反米スローガン」を口にせずに民主化を強調することに
よってアメリカの頭を狂わしてアメリカの圧力を巧みにかわしたのです。
リベラル主義のオバマは対話路線と非暴力の看板でアメリカの国益が
見えなくなり、30年間もアメリカの傀儡をつとめたムラバクを見放した
のです。
これによりアラブはイスラム革命が起こりアラブ全てが反米勢力に転換
していきます。
アメリカは世界で民主化を進めながら中東では独裁政権を容認してきた
偽善政策をオバマは理解できなかった。建前の正義である民主化を主に
した思考しか出来なかった。
エジプトにイスラム原理主義勢力が台頭すればアラブ情勢は激変します。
今後 窮地に陥ったイスラエルとアラブの激突が予想され、イスラエル
の核とイランの核が撃ちあうことも考えられます。
平和主義者のイギリスのチェンバレンによる宥和政策がヒトラーに軍事力
を増大させる時間的余裕を与え結果的に第二次次世界大戦が勃発したよう
に、オバマの宥和政策が中東戦争を誘発していくのではないかと思って
います。
いつの時代も皮肉にも平和主義者が戦争を誘発させます。
