投稿コメントに貼りつけていただいた「中野剛志先生のよくわかる
TPP解説」をyoutubeで見さしていただきました。まさに目から
ウロコです。ありがとうございました。
ケインズ政策についても言葉不足で誤解を与えたようです。
なるべく文章が長くならないように簡略に書く癖がついてしまって
結果意味不明になっているような気がしています。
それと投稿欄に載っていた「経済論は全く価値のない、机上の空論、
後付けの結果論」という鋭いコメントもマトを得た言葉だと思います。
確かに経済を論じるのは専門家であれ素人であれ非常に難しい。
多くの経済学者がその国の経済を論じるとき、その国が発表した経済
の統計を信じて考察します。
特にGDPの数字についてはいつも疑問を持っています。実質GDPの
計算は、ある基準年次に生産された全てのモノの価値をもとに算出され
ることになっています。
しかし統計を扱う機関が、生産された全てのモノの価格をどうやって
記録するのですか?また全てのモノにどうやって価格をつけるので
すか?そんなことは原則的に見て不可能だと思います。
経済の統計がどのようにして集計されるのか見たこともない者に
とって不思議でなりません。
それでも欧米先進国や日本の場合は困難な条件のもと、限られた手段で
最善をつくしていると思いますが、新興国や中国が真剣にデーターを
集計しているなど考えられません。
特に中国の場合、データーを提供する地方の役人やビジネスマンが粉飾
するのが常識になっています。だから中国の発表する数字が真実だとは
とても思われません。
中国は近年 毎年の経済成長率は8%から10%に達すると発表され
ていますが、以前ブログにも書きましたが、他の全ての指数が萎縮して
います。どうせ嘘をつくなら他の数字も成長率に合わすべきなのに常に
片手落ちです。
中国の経済発展に疑問を呈すると、多くの人たちは、「かつての掘建て
小屋に代わって超高層ビルが建ち、高速道路が走り、かっての自転車が
自動車に代わり、賃金が急上昇した。誰かがカネを儲けなければ、自動
車や電気製品、マンションが売れ、あれほど多くの国民が外国に出かけ
て行くわけがない」といいます。
たしかに北京。上海、広州,深センなどの大都会だけを見ればその通り
です。しかし中国総人口の1割ぐらいの人口で判断するのは少し違うと
思います。
また中国の話しになってしまいましたので、もう少し中国経済について
考察してみます。
2009年中国は「目標通り8%を達成した」と発表しました。しかし
その年の輸出は30%減です。中国の輸出産業はGDPの35%を占めて
います。全体のGDPの35%から30%を引けばGDPは約10%の
マイナスになるはずです。
アメリカの経済学者は、外需から内需に切り替えた中国の勝利であると
書いています。つまり世界不況で輸出が減った分を中国は、52兆円を
投入し公共事業などの内需振興で8%成長を達成したと述べています。
いわゆる中国はケインズ政策をとったわけです。財政出動と銀行からの
融資で公共事業やマンション、自動車などの民需を押し上げたのです。
しかし先進国でGDPをわずか1%上げるのさえ至難の業だというのに
52兆円を投入しただけで8%の成長率を維持できるなどまるで手品です。
国内の消費者消費は日本は60%なのに対し中国はわずか35%にすぎま
せん。私の頭では理解を超えています。
しかし(今日は「しかし」が多すぎる)現実には自動車の販売台数は
日本やアメリカを抜いて世界1位になり家電製品やその他も売れてい
ます。評論家が言うように「誰かがカネを儲けていなければあれほど
の消費財が売れるわけがない、中国の成長は紛れもなく本物である。」
しかしちょっと待ってください。日本の経済成長は労働生産性を上げる
事によって達成されました。日本の労働者の生産性は40年前に比べると
およそ7倍になった、だから実質賃金も7倍になったのです。
つまり簡単にいえばブルドーザーを使う労働者はシャベルしか持たない
労働者よりも多くの溝を掘ることが出来ます。
いわゆる労働生産性をあげ それにともなって実質賃金を上げることが
出来たのは技術革新という頭脳の問題なのです。
ということはたかだか52兆円を国内に投入したからと言って、突然
消費者の消費が上がりGDPが成長するなど有り得ないことです。
しかし消費者の消費を突然上げる方法があります。バーナキンが提唱
したヘリコプターから紙幣をばらまくことです。現実にはそんなことは
出来ませんが、中国は別の方法で紙幣をばらまいたのです。
私は過去ブログで「中国不道徳経済」として詳しく述べています。
つまり中国が投入した巨額資金の3分の一が汚職、賄賂、ピンハネ、
その他の不正な方法で個人の懐に直接入っていったのです。
だから消費効果が直ぐに現れたのです。普通はケインズ政策を実施して
もその効果は3年から5年かかり、効果も徐々にしかあがりません。
アメリカのようにドルを刷りまくっても失業率は10%近くもあり
一向に効果が上がっていません。
中国の様に大都会だけの限定した急成長は外国からの巨大な投資と
低賃金の労働を動員していたためだけであり、日本のように技術革新
によって生産性を上げ、成長したわけではありません。
つまり「中国的システム」による歪な経済は 成長を維持することは
絶対に不可能だということです。
(長くなってしまいました。日本経済を書くつもりがアサッテに飛んで
しまいました。次回も素人経済学を論じてみます。)
私のブログは、本文より優秀な論客の皆様の投稿コメントにこそ価値が
あります。訪問していただいた皆様は、知性の高いコメントにビビらずに
どうか気軽に投稿してください。皆様のコメント投稿のお陰で私は勇気を
持ってパソコンの前に座ることが出来ています。
