いつもながら論客の皆様に教えられることが多くて感謝申し上げます。
10日の産経新聞に載った櫻井よしこ氏が丹羽宇一郎氏のことについて
大変懸念されている文が載っています。
「丹羽氏はアジアに目を向けて生きよと説き、国家間関係では政治的絆
より経済的絆が重要だとして、日本の政治家が靖国神社を参拝しようが
しまいが、関係ない。政治的主義・主張は経済の前にはいろあせる」
「小泉首相の参拝に否定的な発言をして人が、個々の企業や業界の思惑や
利益を離れて日本の国益に基づく発想が出来るのか?」
「首相と丹羽駐中国大使、双方とも国家観が見えない、そのような人々の
下で、日本の漂流はさらに続くと思えてならない」と書いています。
櫻井氏の鋭い人物評には常々尊敬申し上げています。
過去のチャイナスクール出身の駐中日大使より、民間出身の丹羽氏の方が
まだ国益中心に考えてくれると思うのは私の甘さでしょうか。
たしかに丹羽氏は 中国が靖国参拝、歴史認識、教科書問題などのカード
を巧妙に使いこなして日本に圧力をかけて日中間の主導権を掌握しよう
としている戦術を理解していないかもしれません。
丹羽氏が経済という側面からしか中国が見えないのなら、結局中国の
ことは何も見えません。
つまり中国は自国の経済成長にとって日本という国はなくてはならないと
いう認識は中国政府も痛いほどわかっています。
しかし国民のナショナリズム意識や愛国感情を高揚させるためには日本と
いう悪役が必要なのです。
そのために歴史を捏造した反日教育で日本を「中国民族の敵」に設定して
国民感情を操作して共産党政権の求心力を高め国を維持してきたんです。
つまり中国は経済においては日本との協力関係を一層強化しなければなら
ないが、政治の領域においては常に悪役日本を叩いて、国民の一致団結
図らなければ政権を維持出来ないのです。
前回のブログに書いたように2005年の中国政府が仕掛けた最大規模の
反日デモもその一貫なのです。
靖国参拝に対して中国政府の常套句である「我が中国人民の尊厳と感情を
ひどく傷つけた」というのは単に日本を叩くためのカードにすぎない。
中国は経済的に日本を必要としながら、政治的には日本批判を展開しなければ
ならないという二律背反という政策に全く矛盾を感じない民族なのです。
「経熱政令」という日中関係で丹羽氏は「経熱」だけで今後中国と接して
いくなら中国に足元をスクワレル可能性がありますが、大商社のトップにまで
上り詰めた人です、外交官よりマシであると信じたいとおもいます。
丹羽氏の「清く、正しく、美しく」の精神で仕事をしているという言動に
青臭い左翼の匂いが少し感じられますが、左翼のように国家観まで欠如
しているとは思いませんが、左翼思想の菅直人首相が丹羽氏にシンパシーを
感じているなら少し心配です。
丹羽氏が60年安保闘争の学生運動の先頭に立った事も、学生時代マルクス
にかぶれていた事も、少し知っていました。
しかし彼が商社マンという職業を選び、実業の世界で生きてきたということ
はマルクス主義の呪縛から解き放されていると考えるのが自然だと思います。
私はマルクス資本論を完全に読んだわけではありませんが、ビジネスの
世界で生息していますとマルクスの理論がいかに稚拙で馬鹿げているかが
すぐにわかるはずです。
マルクスは資本階級を革命により没落させようと主張していますが、資本家を
抹殺した後、一体誰がリーダーになるのですか?結局労働者の誰かがリーダーに
ならないと企業は成り立ちません。
社会主義国家といえども生産する企業がなければ誰も生きていけません。
その企業を国で経営しても経営者はいります。役人が経営者になればその
経営者は資本家ですか?
マルクスは生産手段を持つものを資本家、持たないものを労働者と定義して
います。しかし普通の国では労働者は努力によっては資本家になれます。
資本家も失敗すれば労働者になります。
もちろんマルクスが生きていた時代と現在では資本家の中身が違うことは
理解していますが、それでもマルクスの理論は矛盾だらけです。
彼はイギリス産業革命で勃興した資本家をターゲットにして構築した理論
です。現在の資本主義で論じて批判するのは酷かもしれません。
イギリスは階級制度がきつくて労働者は永久に労働者で資本家は永久に
資本家です.現在でも生まれながらのエリートと労働者は区別されています。
マルクスは「資本論」の中で、商品過剰と労働者過剰によって資本主義は
没落していくと説いています。誠に馬鹿げた理論です。景気循環の経済
では常に起こりうる現象です。
また発展途上国は先進国に搾取されているから経済的に貧しいという理論も
全くアホらしい論法です。発展途上国に先進国が入り込むことによって発展
し、途上国は失業者がへり徐々に豊かになって先進国になっていったのです。
中国、韓国、台湾も先進国の日本が入ったことによって奇跡とも言われる
高度経済成長を達成することができたのです。
またマルクスはリカードの労働価値説をパクって剰余価値説を主張しています。
マルクスによれば「資本家は労働者が提供する労働者にたいして賃金を支払い
支払った分を超える価値を生み出すよう労働させることによって、超過分を
剰余価値として取得する。この剰余価値が資本の利潤となる」と言っています。
それが何か!問題ですか?
この全く当たり前の事が労働者階級の解放、階級廃止という共産主義の理想の
根拠になったのです。
マルクス資本論を読んだこともないのに偉そうなことを書きました。丹羽氏は
実業の世界で50年近く生きてきた人です。彼がまだマルクスにかぶれている
とはとても思えないのですが・・・・
頭が狂った勉強しない日教組の先生なら別ですが!
