今日は前回の続きです。
経済の問題は少し頭を柔らかくして考えないと混乱してしまいます。
それでは柔らかくなったところで、政府の債務とはいったいなんでしょうか?
その前にそもそも政府とは何ですか?
辞書で調べたら、「政府とは、統治・政治・運営・の主体と客体とが国民と
され、その信託に基づいて国の統治・運営がおこなわれる。そのために国民
は、政府を国民自身の考えに基づいて機能させるために固有の権利を持って
いる」と書かれています。こういう文章は読めば読むほど分からなくなります。
今回は経済に突出して考えてみます。
早い話が、政府とは国民に奉仕するためのサービス機関なのです。
つまり政府とは我々国民に奉仕さすために税金で雇った代表たちなのです。
これが民主主義国家です。
ところがお隣の一党独裁、共産主義国家では逆に政府に奉仕するために
人民が存在しています。中国の話をするとまたアサッテに飛んでしまいます。
今日は民主国家の話です。
さて民主国家では政府と国民を別人格で論じて間に線を引いてしまいますと
経済が分からなくなります。
このことを踏まえて政府の債務について考えてみましょう。
政府債務とは国民のあいだで保有されている証券類からなっています。国民
とは個人だけでなしに銀行、保険会社、証券会社などの法人も含まれます。
つまり我々国民から選ばれた代表(政府)が、会費(税金)だけでは満足が
いくサービスを提供できない、そこで余裕のある国民や法人から借金(国債)を
してサービスの充実をはかった。
いいかえれば政府が借り手であった一方で、我々の誰もが貸してだったのです。
別の見方をすればその債務は我々自身への借金だということもできます。
だから日本のように外国人からの債務がないのであれば日本の純債務は
終始ゼロであるといえます。(外国人からの債務はわずか5%)
問題の国債がすべて日本自身の通貨、つまり円での借金ならわれわれは円で
元利いずれも支払うことが出来ます。そして日本政府と日銀は日本が必要と
する円をいつでも創り出せることができます。
ということは日本政府の債務について債務不履行が生じてギリシャのように
崩壊するなどの可能性は全くありません。
頭が少し混乱してきたと思います。
つまり個人の借金と国の借金という性質が違うものを混同してはいけないと
いうことです。日本のエコノミストはこのことを理解していません。
個人の実感で経済を論じるなら「経済学」なんかいりません。
それでは何故ギリシャは日本と同じように自国通貨の国債を発行出来なかった
のか?それはユーロ圏に属しているからです。つまりギリシャは日本のように
いくらでも発行するというわけにはいかない、ユーロという共通通貨建て
だからです。
だからギリシャはお金が不足すれば外国人からユーロ建てでお金を借りる
ことになるのです。このユーロ建て国債を自国民が全て引き受けてくれる
なら日本と同じように終始ゼロです。
ところがギリシャはとんでもない貧乏国です。国内の誰もが(個人、法人)
ユーロ建て国債を引き受けてくれません。そのわりには国民はのんきで
なに不自由のない生活をしています。
それは借金漬けで生活をしているからです。国民は直接借金をしているわけ
ではないのでのん気なのです。国民の代表である政府がノー天気に借金を
しているから国民は痛みを感じていないのです。
それではギリシャの貧乏経済を分析してみます。
ギリシャは100億ドルの輸出に対して、輸入は300億ドルもあり、慢性的
な貿易赤字が続いています。しかも農業国でありながら食料を自給でき
ません。そのうえ政府は権力を維持するために常にばら撒き的な政策を
実施、生産に全く貢献しない高給取りの公務員が国民の20%もおり、
年金やその他の社会福祉を充実させています。
早い話が40万円の給料で50万円の生活をすれば借金しなければ生活でき
ないのは当然の成り行きです。
しかもお金持ちである医者、企業人たちの脱税が常習化されています。
財政崩壊は当然の帰結なのです。
ユーロ諸国はギリシャを崩壊させれば長年の欧州の夢であった統一は
音を立てて崩れていきます。
そこで欧州連合が約93兆円の緊急融資制度を発表しましたが、基本的な
問題の解決にはなっていません。貧乏国のギリシャ政府は年金や公務員の
給料カットを決意しましたが、甘い生活になれた国民はデモをして政府を
攻撃しています。
ギリシャが救われるのは、増税と支出削減、経常収支の黒字化しか途は
ありません。ところが国民は緊縮財政の実施には死者が出るくらいの激しい
デモをして抵抗しています。
経常収支の黒字化は100億ドルの輸出に対して300億ドルの輸入を逆転
させるなど無理です。ギリシャ一の稼ぎ手である海運業界はギリシャ国内
法により、海運業者は法人税の支払いを免除されています。
オナシス氏やその他の海運王の政治力です。政治家の愚かさに思わず目を
覆いたくなりました。海運王たちは「たとえ国が崩壊しても、海運業者は
常に逃げ場がある」とほざいています。
ギリシャの海運業者は現在、世界の20%弱の約4800の船舶を保有しています。
これらが無税とは政治家の無能ぶりにあきれます。
ちなみに日本はギリシャ以上の船舶を保有しています。
今日は長くなってしまいました。国債の説明をするためにギリシャを引き
合いに出しました。ギリシャの国債(借金)と日本の国債(借金)との決定的
な違いが分かっていただけたとおもいます。
(次回もこの続きを書いてみます)
