ロシアの傲慢な殺し屋プーチン首相が今日11日来日します。
それについて北方領土問題をめぐり、今日は谷内正太郎氏(前外務
事務次官)の言及した事について検証したいとおもいます。
4月17日付毎日新聞に掲載された北方領土に関するインタビューで
「個人的には3.5島返還でもいいのではないかと考えている、北方4島
を日露両国のつまずきの石にはしたくない」と述べています。
この谷内氏の言葉が心に引っかかったまま今度は4月28日の産経新聞
の「話の肖像画」に3日連続谷内氏は「外交の戦略と志」で日米関係や
憲法改正、北方領土問題などを語っています。
谷内氏が外務次官の現役の時、当時外相だった麻生首相は衆院外務
委員会において「北方領土問題を解決するために全体の面積を2等分し
て、半分をロシアに譲る事により解決を目指したい」と言っています。
この麻生氏の考えは谷内外務次官の影響を受けたものと思われます。
両者の現実主義的な考えは一見正しく見えてしまいますが、ロシア人を
全く理解していません。過去の「北方領土返還」を前提とした会談を
検証すれば彼らの本質が見えてきます。ロシアは常に合意を反故にし
裏切る事に躊躇しません。
戦前においてもソ連は終戦を目の前にして突然日ソ中立条約に違反して
対日参戦しました。そしてポツダム宣言を受託し戦争が終結したにも
関わらず、その後北方4島全てを不法占拠しました。
ソ連は二つの国際法に違反して姑息な火事場泥棒をしたのです。
ソ連は北海道まで占領する計画だったが、当時のトルーマン米大統領
がソ連に対して「武力を行使してでもソ連の南進を阻止する」との声明
で、スターリンはこの計画を断念しました。
ロシアの謀略と裏切りは彼らの本質であり民族の体質ですが、謀略、
陰謀、裏切りはソ連の専売特許ではなしに世界の外交では当たり前の
ことなのです。
特に日本の場合、ソ連、中国、アメリカ、韓国、北朝鮮などに何回も
痛い目に会わされていますが、謀略、陰謀、裏切りは、人類の歴史
そのものなのです。
本題に入っていきます、谷内正太郎氏の「外交の戦略と志」を読みその
保守的思考は、ほとんど同意しますが、谷内氏の心情は外交下手の
日本人の弱点をもろに感じます。
彼の言葉の中にやたらと信頼や信頼関係という言葉がでてきます。
北方領土問題にしても「両国の首脳間で信頼関係を築き、対話を深めて
ほしい、そしてエネルギー、極東シベリア開発、環境などで、協力して
いく事が自らの戦略的利益にかなうと双方が認識すれば問題の解決に
つながる」と言っています。
日本は戦後中国に対して谷内氏の考えのように、信頼関係を築くべく
ひたすら中国の発展に巨額の援助と協力をしてきました。しかし結果
強大な軍事力を持った醜悪な怪物に育てしまい、日本の危機が増大した
だけです。
ロシアの目的は北方領土を餌に資源の宝庫シベリアを日本のカネと
技術で開発したいだけです。それでも北方4島を返してくれるなら
協力は、惜しみませんが、単に返す素振りだけで、日本がいくら援助,
協力しても、4島はもちろん2島さえも返さないと思います。
4島を取り戻すにはもう一度ロシアと戦争をして勝つか、あるいは
ロシアが極端に疲弊して国力がどん底まで落ち込まないかぎり、まず
不可能です。両方とも限りなくありえません。ということは当分
返還は無理です。
外務省の最大の弱点は、世界に対してのプロパガンダ不足です。
まず外務省のしなければならない仕事は、「ソ連は日ソ不可侵条約を
犯して壊滅状態の日本に一方的に参戦し、ポツダム宣言を受託し戦争が
終わったにも関わらずどさくさにまぎれて日本の固有の領土である
北方4島を取ってしまった」
と世界に向かって宣伝することが第一優先です。
世界中の誰もがソ連の卑怯な泥棒行為を知りません、世界の人は
もちろんの事ロシア人すら知りません。
中国の場合も戦後の日本の善意を無視して、戦前の日本の行為を悪意
を持って世界中に極端に改ざんした数字でプロパガンダをしています。
それに対抗して日本外務省は真実の数字を世界に向かってプロパ
ガンダする必要があります。
例えば「日中戦争」の犠牲者の数は、当初中国政府が公表した戦死者と
戦傷者の合計は行方不明者も含めて438万人(この数字もかなり多め)
と発表していました。
ところが江沢民は突然「日中戦争によって中国は3500万人の犠牲者
をだした」と世界に向かって言い始めました。
南京大虐殺も30万人以上と執拗にアピール、これらの捏造した史実を
本や、映画で世界に向かってプロパガンダしています。
その結果中国が日本を恫喝したり、大使館に石やペンキを投げつけ、
靖国参拝に内政干渉しても、世界中の人たちは中国が怒るのは当然で
あると受け止めています。中国プロパガンダの勝利です。
日本外務省は何故これら中国の大嘘を正す宣伝をしないのですか?
谷内正太郎殿、中国やロシアに対してあなたが主張している「まず信頼
関係をつくるが大事」「人間関係がきわめて重要」「対話を深める」など
はもっと後の話です。まず世界に向かって日本の誠意と正義を宣伝して
世界の世論を味方につけないかぎり、外交で国益を守るなど無理です。
あなたは大学時代に若泉敬氏の研究会に参加して、若泉氏を心の師と
して仰ぎ影響を受けています。そして若泉氏の「愚直なまでの誠実さが
人から信頼される」という至誠の心を学びました。
個人的な私的な社会においてはすばらしい事です。
しかし外交のような公的な世界では、このような誠実さは、確実に足元
をすくわれます。公的な立場の人は、私的な道徳的思考で行動すると
かならず相手の罠にはまってしまいます。
2年前に日本企業が開発に参画していた石油・天然ガス開発事業「サハ
リン2」は突然権益の半分以上を強制的にロシアに強奪されました。
今日来日する非情な死神プーチ首相に「信頼や誠実」など通用する相手
ではありません。
麻生首相は「北方4島返還への道筋がついた」と見えた段階で大喜び
して全面的に経済協力の方向に行ってしまいそうな気がします。
交渉の鉄則は「前金制度」です。返還への道筋ではなく確実に返還され
てからロシアに経済協力すべきです。ロシアとの経済関係が深まれば
深まるほど日本の弱みになり逆にリスクが増大してロシアに振り回され
ます。結果未来永劫に北方4島は帰ってきません。
麻生首相殿、ロシア、中国、などの国は、にこやかに右手で握手しても
左手に棍棒を隠し持っています.背を見せた時 素早く棍棒を振り下ろ
す国だという事を肝に銘じてください。
