重病説などで動向が注目されていた北朝鮮の金正日総書記が23日、
久しぶりに外国要人の前に姿を見せた。(産経新聞23日)
土曜日の新聞にかなり大きなスペースで「金総書記 中国要人と会談」
健在と緊密さ誇示、オバマ政権誕生を意識、と載っています。
この国際的犯罪集団の凶悪ボスをこのような大きな記事で取り扱う
から世間も金総書記も勘違いするのです。
この男は単なる凶悪犯罪者なのです。だからその犯罪活動を阻止する
ために、地球上のすべての国家が協力して、犯罪活動に従事する人間
を法廷に引きずり出して、厳しい処罰をしなければなりません。
しかるに世界は、この単なる犯罪集団を国家として扱うからおかしく
なるのです。
拉致、麻薬取引、紙幣偽造、飛行機爆破、強制収容所、人民を殺害
飢餓、これだけの悪行を平気でおこなう集団を国として認めるの
ですか?
全てはアメリカの優柔不断にあります。アメリカが攻撃をしたイラク
の方がまだ国家としての形をしていました。
アメリカが主張した開戦した事由は、「核の保有、国内でクルド人を
虐待、フセインとテロ組織のアルカーイダが協力関係にある。」
しかし事実はクルド人の虐待だけ、あとは全くの無実無根でした。
北朝鮮は「核保有、国際テロ組織との協力関係、自国民の虐待」
すべて疑いも無い事実です。攻撃する順番を間違えています。
もちろんアメリカのフセイン攻撃のホンネはイラクが石油輸出の決済
をドルからユーロ決済に切り替えたのが本当の理由だと思いますが、
アメリカの行動にいつも疑問を感じる優柔不断ぶりの原因は、
国益と正義の狭間で揺れ動くからです。それと政権内部に存在する
「ハト派」と「タカ派」の勢力の強弱によって絶えず動揺が発生する
からです。
2001年アメリカ同時多発テロ事件が発生しました。ブッシュはこの
テロを戦争と断定して一ヵ月後にアフガニスタンを攻撃しました。
アメリカ国民の支持率も9割に達しました。ブッシュ政権はこのテロ
事件後、世論に合わせてテロ支援国と断じた悪の枢軸(イラク、イラン、
北朝鮮)との戦いを国家戦略とし、予防的な意味もこめて先制攻撃も
必要と決定しました。
そしてこの流れのままイラク戦争の泥沼にはまり込んでいきました。
日頃から世界の警察官を任ずるアメリカはこの同時多発テロを戦争と
言わずに国際犯罪として扱っていれば、泥沼に足を取られずに
済んだのです。
そうすれば最後までタテマエの正義を貫くここが出来たのです。つまり
国際的犯罪活動を処罰するためにオサマ・ビンラディンをリーダーとする
テロ組織を攻撃した。結果として首謀者のオサマを捕まえることは出来
ませんでした。その代わりとしてテロ支援国家として認定したイラクに
攻撃を開始しました。
そしてフセインを拘束、法廷で裁いたあと死刑にしました。この時点で
イラクから撤退すべきだったのです。
警察の役目は犯人を捕まえたところでその役目は終わりなのです。
最初に戦争と断定したために、駐留してイラクの治安を回復して民主
国家に変えようと、例によって「小さな親切大きな迷惑」をやり始め
ました。
攻撃終了後のアメリカ兵士の死亡は130名,駐留後の犠牲は5000名を
超えてしまいました。結果世界中から批判を浴び、当初賛成した米国民
も手のひらを反してしまいました。
こうしていつもアメリカの大儀は泥にまみれて見えなくなって
しまいます。
話を北朝鮮に戻します。アメリカは金正日を「犯罪者と認定して、
法廷に引き出して、判決に基づく厳しい処罰をおこなう」と宣言して
北朝鮮を攻撃すれば、中国以外は誰も反対しません。
アメリカの正義も大儀も光りを失うことはありません。
北朝鮮を国家扱いをするから話がややこしくなるのです。意味の無い
6カ国協議などを延々と続けて時間を浪費するから北朝鮮は核を持って
しまったのです。
北朝鮮に対する戦略を誤ったのはブッシュ政権の当初 話し合いを主張
したハト派パウエル国務長官の影響力があったからです。
しかしアメリカの柔軟なところは北が密かに核を開発して国際的な
テロ組織に譲渡すことを知ったパウエルは激怒してタカ派に同調しま
した。このパウエルの当初の平和主義が結果として北朝鮮の悪を増長
させてしまったのです。
「話し合い」「平和主義者」のオバマ大統領の優しさは、パウエル
と同じ間違いをするのではないかと心配します。
翻って日本の政治家の一部は、この単なる犯罪者に対して、国として
認めて「国交正常化」をして巨額の経済支援をすることを正義と称して
います。
金正日の命令によって日本国民を拉致し、生き地獄に落とし込むという
行為を「日本の主権侵犯」と言うような国家扱いの言葉で言わずに
凶悪犯罪だと言えばいいのです。
ところが以前、日本国内のおいては金正日に対する支援勢力は政界に
とどまらず、学界にもマスコミにも多数存在していました。
犯罪者を擁護、支援するこの人達は間違いなく同じ犯罪者です。
世界は北朝鮮に対する日本の態度、行為を注意深く観察しています。
これまで長きに渡る態度によって日本は国際的に馬鹿にされ、信頼と
尊敬をなくしました。
2006年ごろあるアメリカ人の投資家に「日本の企業は業績もいいのに
なぜ買い進めないのか」と聞きましたら、
「盧武鉉政権も完全に北に呑み込まれた、核をぶち込まれる可能性が
高まった日本の株など危なくて長期では保有できない」
「コリアン・リスクだ」と言われました。
なさけない話です。
