米国の金融危機に端を発する暗雲が世界中を覆い始めています。
この世界同時不況の黒雲は当然のごとく日本の空も覆い始めて
きました。
テレビを見ていますと、まるで日本だけが不況だと錯覚
してしまいます。
報道キャスターも評論家たちも毎日同じセリフを連呼しています。
「派遣労働者のリストラ」「円高株安」「中小零細企業が年を越せない」
「上場企業倒産は戦後最多」「なぜ第二次補正予算を前倒しに
しないのか」
ではいったい第二次補正予算の中身とはどのような政策ですか?
まるでこの二次予算を年内に通さなければ、日本が沈没してしまう
かのごとく騒いでいます。
予算の中身について誰も論じずに、まるで魔法の杖のごとく強調
しています。
私の記憶では、二次補正予算には、中小企業対策として保証枠拡充
と麻生首相が迷走した低額減税に代わる2兆円の給付金支給しか
記憶にありません。
日本のメディアはいつも危機を煽りすぎるから、国民は不安にかられ、
企業は慎重になりすぎて募集を減らし、人員を減らします。
しかし日本は世界同時不況の中でもその健在振りと安定感は
際立っています。その証拠に今年になってから円は買われ続けて
います。対ドル相場は18%の円高、ユーロは対円で約30%も減価
しています。
円高になるとメディアは直ぐに「日本は輸出で持っている、円高は
致命傷である。輸出依存国の日本は円高になると企業の競争力が
失われ、ますます不況になる」と言いますが、
これはあまりにも一方的な物の見方というより、そもそも物を
見ていない。日本は輸出依存国ではありません。輸出依存度は
わずか16.3%〔輸出対GDP比率〕です。日本は内需依存国です。
もちろんGDPの分母が大きいですから輸出額は80兆円を超えます。
しかし主要国では輸出比率はアメリカに次いで低い数字です。
日本の輸出の中心は消費財が急激にへっていき,代わって部品や材料
といった資本財が輸出の大きな部分を占めています。
輸出するものが消費財と資本財とでは、意味するものがまるでちがい
ます。世界同時不況で各国は消費財の輸入を真っ先に減らしますが、
資本財をストップすると工場は止まってしまいます。
そのうえ日本の資本財は優秀で円高になっても日本以外から輸入
できないのです。それだけ日本技術は突出しています。
競争の激しい耐久消費財は現地に進出して世界と戦っています。
例えば自動車大手6社の海外売り上げが全体に占める比率は、実に
76%にもなっています。家電の海外売り上げの正確な数字を持って
いませんが、自動車と同じくらいの比率だと思います。
建設機械のコマツ73%、武田薬品も海外の稼ぎが50%、
これらの海外に進出した企業の売り上げや利益は日本の数字に
カウントされません。故に日本の数字だけ見ていると日本は常に
ひ弱にみえます。
中国は輸出の比率は極端に高いです。輸出で生きている国です。
その輸出も耐久消費財と雑貨中心です。耐久消費財は日本製の部品を
たっぷり使っています。
だから中国の構造は世界同時不況の大波をどこの国よりも早く直接
かぶることになります。投資と輸出に過度に依存してきた中国発展の
終焉です。
それと評論家はいつも先入観でものを言いますが、彼らの勉強不足は
日本の正しい姿を歪めてしまっています。彼らがいつも悲観する円高
はむしろ日本にとって吉です。
鉄鋼、薬品、食品、電力、ガス、石油、など円高でメリットを受ける
企業のほうがはるかに多いです。
それと評論家は未だに「米国がくしゃみをすれば日本が風邪をひく」と
言いますが、今回の米金融危機によって起こった不況は少し意味が
ちがいます。
世界中が米国の妖しげな金融商品に引っかかったのです。
日本も片棒を担いでいます。日本は世界史上に類例を見ない、長期間
の低金利政策を採ったために2005年以降、莫大な資金を海外に提供
し、世界中にバブルを撒き散らしました。
原因を作ったアメリカの不動産バブルも日本の低金利の円が貢献して
います。そして低金利の円を武器に怪物ヘッジファンドが、世界中に
危機を拡散したのです。
すなわち、日本がクシャミをするとアメリカが風邪を引くどころか
肺炎になってしまいます。
これが日本の底力です。
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