中国最大の敵は日本でもアメリカでもない、中国にとって最大の敵は
中国自身です。
世界にとっての一番の敵は、各国の中国過大評価と中国自身の
過大評価です。世界があまりにも中国を過大評価するために
中国自身が舞い上がって、自分が見えなくなっています。
世界のジャーナリスト、シンクタンク研究員、学究諸氏たちは、
2030~50年にはアメリカを抜いて世界一の超大国になると
盛んに持ち上げています。
中国自身も今やアメリカと並び2大超大国になったと自信たっぷり
です。
アメリカの国務次官補が、「中国と日米の間の相互不信を払拭するには、
日米中三者会談がよいのではないかと提案してみた、ところが中国
外交部の高官は『日本はアメリカや中国と違って大国でないから
三者会談には及ばない』とあぜんとするような傲慢さで、私の提案を
却下した」と語っています。
また中国指導者は、「G8サミットにアジアから日本だけが参加して
いるが、なぜ中国を入れないのか?経済大国クラブである以上は
我々の国が入らないと意味が無い、アメリカは今でも中国を無視
しているのか」と文句を言ったそうです。
そこでアメリカ高官は「中国が参加すると国連常任理事国が全て参加
することになり、そうなるとサミットが国連安保理の事前協議の場に
なりかねない」と弁明したそうです。
中国の自信と高慢さは今や天をつく勢いです。
中国外交が国際舞台でスポットライトを浴びた最初の舞台は2003年
に開催された六カ国協議だと思います。
それまでの中国外交は裏に隠れた恐喝外交一辺倒でした。
中国が自国以外の東アジアの政治問題に、これほど深く関与したのは
初めての事です。
六カ国協議においてアメリカは常に中国の意向を伺い中国を立てて、
中国に指導的な立場をとらせました。
そのお陰でニューヨーク・タイムズなどの外国マスコミは、「中国が
主役の歴史的な会談」という報道までしました。
この六カ国協議は中国政府にとっては国民に対して中国の威信を示す
宣伝としても予期せぬ大成功でした。
中国指導者たちも国際外交でリーダーシップをとるようになったことに
有頂天になっていました。
日本の新聞だけ見ているとこのような中国の興奮ぶりは見えませんが、
海外のマスコミを見ていますとよく分かります。
ここ20年くらいは、世界中の政府首脳や企業人が取引を求め、事業の
許可を得ようと、北京にやってきて卑屈な低姿勢で笑顔をつくります。
まさに昔の朝貢スタイルです。
共産党幹部もまるで自分が皇帝にでもなったように錯覚して
しまいました。
そして最近の中国は軍事カードや政治カードより経済カードを使った
ほうが効果もあり、世界の批判を浴びなくて済むということを
覚えました。
トヨタの元社長奥田氏などは中国に位まけして、小泉首相の靖国参拝を
批判しました。世界中の企業家がこの中国の経済カードに屈服して
低姿勢になってしまいます。
世界が中国の経済力に屈服して、中国を恐れ、中国を称賛し、中国の
実力を認めた、と中国自身が錯覚してしまったのです。
このような結果中国は自分の姿が見えなくなっていきました。
しかし中国経済の実力は世界が認め中国自身が認めたように本当に
そんなに凄いのか、アメリカ市場を例にとってみてみます。
日本が戦後アメリカ市場への売り込みは、まさに血のにじむような苦労
の末、アメリカのニーズが分かり、技術開発をして、デザインを考え、
市場にうまくはまる商品作って売った。
中国はアメリカの工場が中国に移転して作りアメリカに輸出したのです。
中国の苦労や努力は何もありません。
日本市場でも中国企業が独力で、日本市場にぴったりはまる商品を開発
したわけではありません。日本市場の中国商品は日本企業が中国で作り
送り出されたものです。
スーパーの商談に中国人が営業に来ているなど見たこともありません。
つまり世界中は中国の安い労働力を利用したに過ぎないのです。
そこには中国の努力も技術も何もありません。
中国はそれほど主体性のある経済発展をしていない、世界中の先進国
が中国に入ってきて、中国の安価な労働力を使って世界中に輸出を
しているにすぎないのす。
そして中国に進出した各国の工場の数字は中国にカウントされます。
貿易数字も経済成長率も外貨準備高も多くが外国企業によってもたらさ
れた数字です。
このような国が経済大国ですか?
世界の企業人の口癖は「誰が中国を一番うまく使ったか」という
言葉です
