アメリカ市場の混乱は、絶望と希望が入り混じって複雑な様相を呈して
きています。アメリカメディアの報道も楽観論と悲観論が日替わり
メニューのようにクルクルと変わり、ゆれにゆれています。
米市場は超大国アメリカの力を信じようと、オバマ次期大統領の経済
閣僚人事で将来の希望を見出そうとしています。
オバマ氏に指名されたティモシー・ガイトナー財務長官とローレン・
サマーズ国家経済会議委員長について市場は歓迎しています。
しかし一方で「性格も仕事のスタイルも対照的な二人は意見が対立
する場面も出てくるだろう」とのメディアの悲観報道で市場は
心配をしています。ほんの小さなことで市場はチキンハートになって
しまっています。
しかし誰がなろうと直ぐに最悪の状況を変える事など不可能であると
誰もが理解しています。
今回の金融危機でベアー・スターンズ、アメリカ・インターナショナル・
グループ、シティグループなどの救済策の 発表は財務省だが、実際は
ガイトナー氏が取りまとめてきたとニューヨークロイターに載って
いました。財務長官就任指名で株が一時的に上がった理由が
納得できました。
アメリカ経済界はガイトナー氏が財務長官に就任すればこの危機から
脱することが出来ると信じているのではなく、ただ闇雲に信じたい、
なにかにすがりたい、藁にでもすがりたい一心のような気がします。
しかしアメリカの金融機関の闇の深さはまるでブラックホールのよう
に あらゆる救済策を吸い込んで消し去っていきます。
シティグループを救済しても次にバンク・オブ・アメリカ(BOA)が
煙を上げ始めました。BOAは米国最大の住宅金融会社カントリー
ワイド・フィナンシャルを買収したことが裏目にでて、株価を急激に
下げています。そのうえ米政府の指示でメリルリンチを買収すること
でも合意していまが、その余裕は既に失われています。
そして今度はワコビアを救済合併したウエルズ・ファーゴもぐらつき
始めました。
おそらくこれらの救済買収も連銀総裁のガイトナー氏の意向だと
思いますが、あまりいい結果は生まれていません。
今後も救済される銀行はさらに増え続けていきます。すでに大きく
穴の開いた金融機関をいまさら見捨てるわけにはいきません。
途中で止めることはいまさら不可能です。
私の推測ですが、ガイトナー氏はリーマン・ブラザースの破綻を容認
しました。結果世界中の市場が衝撃を受けそれ以降経済が急激に悪化
しました。ガイトナー氏はその影響に驚き、それ以降は全ての米金融
機関を救済することを決めたのではないかと思っています。
もしこのままアメリカが以前のように浮上しなければグリーンスパン
氏のようにガイトナー氏も責任を問われ攻撃されます。
しかし問題は金融機関の救済は世間も納得しますが、米自動車大手の
3社に対する救済は資本主義自由経済の崩壊を意味します。
「ビッグ3を救済するのであれば、我々も救済してください」と他の
民間企業から要請されたらガイトナー氏はどの様に返答しますか?
答えようがありません。会社の大小で救済を決めれば資本主義社会の
秩序の崩壊です。
私なら倒産させます。倒産させた方が復活はスムースにいきます。
何故なら、倒産すれば債権者からの訴訟を気にする必要はありません。
うるさい労働組合も法律以上の要求を主張しても関係ありません。
そのうえ無能な経営陣を簡単に排除できます。赤字の会社の社長が
巨額の報酬をとり、プライベートジェットを乗り回すなどあきれ
果てます。日本の経営陣とえらい違いです。
オバマ氏は「雇用を守る」と甘いことを言っていますが、アメリカの
浮上を遅らすだけです。
経済を知らない社会主義的なオバマ氏の希望通りにアメリカが進むなら
超大国アメリカの終焉が早くに訪れます。
アメリカ経済の運命はガイトナーとサマーズの二人三脚が握っています。
たとえ血を流しても 国民に多くの痛みを与えても 自由主義経済を守り
きったときアメリカの未来は再び輝きを取り戻します。
