今日もアメリカの事を書いてみます。
前回は「憲法を改正して自立できるまで日米安保は絶対必要である」と
書きました。
しかしこれはあくまで日本側の希望であって、アメリカ側が憲法を改正
するまで待ってくれるだろうか?
いまアメリカの中核をなしている東部エスタブリッシュメント
(ペンタゴン)の一部で「日米安保廃棄論」の火が広がってきています。
アメリカの「外交問題評議会」は、現状の日米同盟について「この同盟
は危機に際して全く機能しない」との分析結果を出しています。
アメリカが危機に際して自衛隊は全く機能しないと結論付けるのは
当たり前の事です。つまり集団自衛権の問題について、日本では、未だ
明確な結論を出していない。そのうえ「有事法制」すら できていない
ため、共同作戦計画は実質的に発揮しようがない。
すなわち日本は「戦える体制」になっていません。
このような状態で「日本有事」のときアメリカの一部で「増援軍を
日本に送る気はない、同盟を締結していながら、その責任を果たす気
がない日本に対して、どうして日本を救うために若いアメリカ将兵を
送り、彼らの命を犠牲にすることができようか」と言い切っています。
しかし悲しいかな日本人は日米安保条約を結んでいるから、アメリカ軍
はいつでも助けに来てくれる、日本とアメリカは友好・信頼関係で
結ばれた兄弟である。その軍事的コミットメントは絶対であると
おめでたい日本人は固く信じています。
日本人がお守りにしている「日米安保条約」の第5条(共同防衛)
には、「日本国の施設の下にある領域における、いずれか一方に対する
武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、
自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように
行動することを宣言する」と規定しています。
あまり難しい条文を書くと読む気がしなくなりますが、大切なところで
すから少し我慢して読んでください。
今アメリカでこの第5条を根拠にして、アメリカが日本国を防衛する
必要がないとされる解釈が「外交問題評議会」で盛んに論議されている
ことを日本の政治家は知っていますか!
どういうことかと言いますと、日本にあるアメリカの大使館、アメリカ
の軍事基地と日本国の地域を二つのPartyで分けて定義しています。
第5条の条文に「自国の憲法に従って」と規定されています。
すなわちアメリカ合衆国憲法では在外のアメリカ合衆国軍基地が攻撃を
受けた時は、自衛行動を許すが,駐留国の防衛まで行う
規定はありません。
どういうことかと言いますと、アメリカ軍の行動は、つまり日本国内
のアメリカの施設(軍事基地その他)とその周辺に対する危機に限定
されるということです。
なぜこのような議論が起こってきたかと言いますと、「安保ただ乗り論」
が日本がバブルの頂点のころからアメリカで盛んに議論されてきました。
日本は防衛をアメリカに任せて経済に集中して、いまやアメリカを
有り余る資金で買い始めた。その嫉妬と恐怖が全米を覆いつく
したからです。
日本人の悪い癖でいつもすぐに増長してしまいます。アメリカを
過小評価してしまうこの油断が、戦前も含めて日本がいつもアメリカ
に叩き潰される原因です。
日米安保条約というのは基本的に軍事同盟です。しかしそれが成立
するためには、一国の有事に際して相互に軍事能力を補足しあい、
共同作戦を遂行しなければなりません。
しかし「有事法制」の制定もなく、「集団自衛権」も行使できない
日本に同盟を遂行するための能力などはありません。
本来、軍事能力を持たない日本はアメリカと対等の同盟条約を締結
などできません。すなわち同盟と言いながらアメリカ対日占領政策
の延長線上にあります。
テレビを見ていますとコメンテーターがアメリカに対して「アメリカ
とは同盟国であり、対等である。対等であるいじょう もっと言いたい
ことを言うべきである、間違いを正すのが友情の証である」など
したり顔で言っていますが、対等ではありません。
個人感情のままで国際社会に反応するなど、愚かも甚だしいです。
アメリカのペンタゴンでの日本のイメージは「日本という国は、
自らの繁栄と経済にしか関心がなく、安全保障を金で買う国」と
いまや定着してしまいました。
同盟国としての義務を果たそうとしない日本に対してのアメリカの
不信感の増大について日本人は、ほとんど感知していません。
最近日本人は国連常任理事国入りについて熱心です、アメリカも
表面的には味方面していますが、内心はバカにしています。
なぜかと言いますと、1995年河野洋平外相が国連で演説をしました。
「日本が常任理事国入りを果たした場合でも軍事行動は一切、関与
しない」といったのです。
日本の憲法では仕方がありませんが、なにも世界に向かって宣言
する必要はありません、軍事的国際貢献を一切しないと宣言するよう
な国が常任理事国に立候補するなど世界の笑いものです。
白か黒かしかいえない日本の政治家は国際舞台で発言すべきで
ありません、アメリカがバカにするのは当たり前です。
現状の不穏な世界情勢において日本の基地はアメリカ軍にとって
対中東戦略を遂行する上で、いまや絶対不可欠となっている以上、
感情論は別にして日米安保を廃棄するなどありえないと思っています。
結論として私が言いたいのは、決してアメリカをなめてはいけません。
日本は常に控えめに、アメリカをビッグ・ブラザーとして立てて
いれば日本は知らぬ間に経済が膨れ、アメリカのグローバル戦略に
日本は欠かせない存在になっていっています。
日本のビジネスマンはアメリカの力も怖さも知りぬいています、過去
の失敗を糧にして深く静かにアメリカを取り込んでいっています。
アメリカだけではなくいまや世界を取り込んでいっています、世界は
日本を中心に回り始めだしました。
しかし増長して表面に顔を出してはいけません、いまだ世界は白人が
支配しています。当分黄色い猿は控えめにしなければ、この地球上
では生きていけません。
前回の表題「アメリカに見捨てられないために」を見て、情けない
とお思いになったと思いますが、日本の基本であり
日本の生きる道です。
