NY株一時9800ドル割れ
米国危機対策の法律が3日成立したが、金融危機の拡大に伴う景気
悪化懸念からNY株式市場のダウ平均は大幅に続落した。(10月7日)
さすがの強気の私も少し不安がよぎりますが、年内には必ず金融市場は
落ち着きを取り戻します。
しかし今回の危機の影響は成長や雇用や生活水準にまで及び、容易に
消え去らないと思います。
米国の連邦準備制度理事会(FRB)は9月だけで1年分を上回る
ドル資金を市場に供給しています。先ほど成立した「金融安定化法案」
のような即効性の無い政策より毎日ドルを刷りまくって市場に垂れ流し
ていることのほうが本来効果はあるはずですが、市場は全く反応
しません、不思議です。
経営不安のために資金調達できない金融機関をつぶさないためにも
まだまだ続ける必要があります。
アメリカの個人の60%近くは資金を株式にまわしています。日本の
家計金融資産1536兆円の内、株式に占める割合は11.3%に
すぎません。
アメリカは相対的に株式に偏った金融資産構成であるため、
株価下落の悪影響は計り知れません。
それだけに株式の暴落はアメリカ人の消費マインドを冷やします。
景気後退を避けるためにFRBは連日巨額のドルを金融市場に
供給し、株価維持に必死になっています。
アメリカの株価下落率より日本の下落率のほうが大きいことについて
竹中平蔵氏は、「経済面での構造改革が明らかに停滞し始めた
ことを市場が見切った」と言っていますが、訳がわかりません。
日本の日銀はアメリカのようにマネーの供給を増やさないからです。
それと日本の下落率の高いのは株式売買をしている投資家の内
70%が外人投資家だからです。
外人投資家は円高に振れると株を売ります、手に入った円を安くなった
ドルに交換すると必然的に利益が出ます。
素人の私がプロのエコノミストを非難するなど おこがましいですが、
いつも首をひねります。
アメリカは景気後退を避けるために輪転機で紙幣をすり続けます。
経済学者ポール・クルーグマンお勧めの通貨拡大政策です。
ポール・クルーグマンは10年前日本に対しても この方法を盛んに
提案していました、「流動性の罠に陥った経済には、期待インフレが
必要だ、期待インフレの為に十分な紙幣を刷ることだ」と
言っていました。
しかし日銀はインフレ促進は危険であるという信念でポールの提案を
受け入れませんでした。どちらが正しかったのかは私には
分かりません。
その後日本は景気刺激策のために利権にまみれた政治家主導で大規模
な公共事業に乗り出しました。結果800兆円以上という信じられない
借金が出来てしまいました。
さてアメリカが個人の収入以上の買い物を続けてくれたお陰で
世界中の景気は上昇を続けてきたのです、そのアメリカが輸入を
減らせば世界の景気後退は避けることは出来ません。
日本の場合 政府の力で景気を回復させることは無理があります。
政府の力で景気を上昇させることが出来るなら誰も苦労はしません。
エコノミストは中小企業を助けるために銀行の「貸し渋り」を
止めさすための方策をとるべきであると 政府を責めますが、
これも無理です。
何故なら銀行も利潤を追求する民間企業である以上、「貸すべき」
などという義務はありません。
民間の商取引に政府は強制する権限などありません。
エコノミストは銀行のことをまるで公的機関と錯覚させるような
物言いをしますが、社会的義務はありません。
銀行の貸し渋りは今後ますます厳しくなります、私の友人(銀行マン)
は「その会社のバランスシートが良くても先行き成長が期待できない
と貸さない」と言明していました。
金融情勢の変化は、これからどんどん変わってきます、時代の転換期
が来ています。
