私のブログは中国専門ではありません、なのにこの5月中は
中国のことばかり書いてきました。
そろそろ以前のように韓国の事や日本の事を書かねばと思いながら、
中国問題から離れられなくて書き続けています。
聖火リレー、胡錦濤訪日、四川大地震、5月は中国問題が多すぎて
他の事を書く気が起こりませんでした。
ビジネスで中国人とかかわる前は、中国が好きで中国ロマンに、
憧れていた一人です。しかし実際に中国人と関わった時、その
あまりのギャップの深さに仰天して自分の甘さ愚かさを知りました。
―・・・・・・
ブログにコメントを頂く人たちがあまりにも教養がありそのレベル
の高さに筆が震えます。(もっと簡単で優しいコメントも御願いします)
おかげで私のブログのタイトル『中韓を知りすぎた男』という
偉そうな題をつけてしまった事に何ともいえない恥ずかしさを
感じています。
子供の頃から作文が苦手の私がなぜ毎日ブログを続けられるのか
不思議ですが、これからも書き続けていこうと決心しています。
今日は中国の有名な伝説「孟姜女」について書いてみます。
以前この話を読んだ時は単に夫婦愛の素晴らしさに感激しましたが
今は何千年と変わらない現在も続いている農民の悲惨な悲劇に
目がいってしまいます。
話を要約しますと、結婚式を挙げてほどなく、万里の長城の建設の
ために夫を奪われた孟姜女は、夫の帰還をひたすら待って祈り、
ついには北の果ての万里の長城へ夫を探しに行きます。
夫が死んだことが分かると、後を追って身を投げました。
(孟姜女―巨いなる墓標)より
『ここまで来ました、ようやくここまで来ました,あなたに遭いたくて
この 北の果ての地へと
ここはなんて寒いところなのでしょう、山々は赤茶けて色もなく、
冷たい風と、冷たい砂とが、競い合うように吹きすさぶだけ
あなたは こんなところにいたのですね こんなにも冷たい暗い大地
に あのみどりなすふるさとに わたしとかえりましょう あなた
あのころは 幸せだった、あのころは 幸せしか見えなかった、
小さな家に あなたとわたしがいて それだけで 満ち足りていて
あなたは朝から晩まで 畑を耕し続けて わたくしは家で火をおこし
水を汲み 機を織り 土にまみれて帰るあなたのために たっぷりと
粥を煮て
夜が寒くても 暗くとも あなたの腕に抱かれていれば 限りなく
あたたかくて あのころは 幸せだった あのころは幸せしか
見えなかった それがいつまでも 続くと信じていた
ある日お役人がやってきて あなたを連れて行ったの 国中から
百万の人を集めて 北のはてに大きな 大きなお城を築くのだそうな
北の異邦人から この国を守るためにと、
あなたは旅立った わたくしの縫った小さな袋に わたくしの髪の毛
を一束入れて このお守りがあれば大丈夫だと 笑みさえ浮かべて
わたくしも 涙を見せないように 笑って見送ったのに
一年もすれば帰ってくるだろうと あなたは言った でも それきり
あなたは帰らなかった 三年待っても帰らなかった 寒くて暗い夜も
あなたのぬくもりは もう どこにもない
そして ここまで来ました ようやく ここまできました 長い長い
旅を続けて この 北のはての地へと
日に照らされ 雨に打たれ 獣や盗賊の影におびえながら あなたに
あうために
新しい冬着を縫ってきました もう 前のは破れはてているでしょう
から あなたの喜ぶ顔が見たかった でも こんなに寒いところ
だったなんて・・・・
あなたが撫でてくれた髪は 硬くこわばってしまった あなたが
いとおしんでくれた肌も 黒くひび割れてしまった もう あの頃
には戻れないのかも でも ひとめ逢いたくて
造りかけのお城の下には 疲れ果てた男の人たちが ものも言わずに
うずくまっていました あなたの行方を聞いても、誰も答えてくれない
光の消えかかった瞳で わたしを見上げるだけ
誰もあなたのことを知らない 誰もわたしのことを知らない・・・
もう 歩けない かじかんだ足の裏は破れ 爪は割れて 血さえも
どす黒くにじみ出すだけ こんなに訊ねても あなたの行方は
わからない もしあなたが もういないなら わたくしも
ここで旅を終えよう
枯れはてたと思っていたのに わたくしの瞳から 涙がひとしずく
ふたしずく やがてからだじゅうからあふれだして 河となって
盛り土の上に流れた
河は盛り土を崩し 盛り土は石垣を崩し 城壁が音を立てて
崩れ落ちた その中に いくつもの白い骨 骨
北のはてに 命を落とした人々の 哀しみの墓標
あそこにあるのは わたしの縫った小さな袋ではないかしら わたし
の髪の毛を一束入れて あなたが持って行った このお守りが
あれば大丈夫だと 笑って持って行った
愛する人の骨は 血汐を吸い取ってくれると わたくしのおばあさん
が言いました わたくしは腕を咬み破って 白い骨の上にひとしずく
わたくしの血汐を吸った骨が 朱に染まる
やっと逢えました あなた もうどこへも行かせない もう決して
離れない 今度は わたくしがあなたを抱いているから
北のはての この巨いなる墓標の下で わたくしと眠りましょう
あなた』
