米アラスカ州で行われた米中外交トップの会談を分析すれば中国の老獪さ
が際立って見えてくる。外交会談では、どちらが主導権を握るかによって
勝敗が決まる。
アメリカのカードはウイグル・チベットでの人権侵害や香港での民主派弾圧、
台湾情勢や中国による対米サイバー攻撃など。かたや中国のカードは何も
ないが米国選挙でバイデンを取り込んだことです。
だから米国に対して強気に出ることができた。以前2020年の米中ハワイ会談
で楊潔篪はポンペオ米国務長官に対して非常に紳士的にアメリカの出方を
探った。
トランプ大統領の中国政策で青息吐息の中国はアメリカと仲良くしなければ
現時点で生きることが出來ない。しかし今回はカネで籠絡したバイデンが
大統領選挙に勝った。
だから双方で約束し決められた2分間の冷静なブリンケンの中国批
判に対して、ハワイ会談とは違い突然傲慢に変身した楊潔篪氏は直ちに
猛烈な反論し、非難と罵倒は約束の2分間どころか18分に近い間止まるこ
となく続けられた。
問題なのは同席のサリバン大統領補佐官です。彼は中国の歴史をまるで
知らない。彼は約束の2分間のスピーチの中で、「我々は衝突を求めていない
が、厳しい競合関係は歓迎する」と述べました。
彼は中国は国際犯罪組織であり、人間生命を無視した残虐な無法者である
ことをしらない。競合関係になれば必ず衝突が起こる。矛盾した言葉を平気で
使うサリバン補佐官は甘い、彼は中国をまともな国家として忖度したのです。
その証拠にサリバン氏2分間のスピーチが終わると、楊潔篪は直ちに猛烈な
アメリカ批判をはじめました。一旦弱さを見せれば際限なく突いてくるのが
中国人の作戦です。
会談の勝ち負けはどちらが譲歩したかで決まります。つまり中国はアメリカ
の制裁や貿易圧力をを少しでも緩めてもらうつもりです。そのために目もくら
むような大金でバイデンを大統領にしたのです。
王毅外相は会談終了後記者団の質問に「順調よく行った」と答えました。
気になるサリバン大統領補佐官は「眼の前が明るくなった」と機嫌よく答え
ました。、
これを推測するとアメリカ側が緩めたことはたしかです。アメリカは中国側の
罠にハマった。中国国内の新聞では今回の会談について楊潔篪の評判が
高まり、まるでアメリカに勝ったように賛美しているようです。
しかし今回の米中会談でドイツはやっと目覚めました。中国と経済的な繋が
りの深いドイツはなかなかNATO加盟国に心底沿うことはなかった。ドイツが
中国の脅威に備え始めた事は心強い。
バイデン氏は中国への対応で「トランプのような方法は取らない、国際ルール
に焦点を当てて取り組んでいく」と述べた言葉が耳の底に残り不安でなりま
せん。国際ルールなど守る気がない中国に対してどこまで許容範囲を徐々
に広げて行くのかを心配しています。
しかし対中政策に限っては、前政権からの基本路線を引き継ぐと宣言してい
ます。議会もまた中国を「共通の敵」とみなすことが唯一のコンセンサスに
なっています。米国民も中国を「敵」だと考える人が89%にたっしています。
世界をナメきった中国に明日はない。
