前々回はスリランカ、前回は令和元年を取り上げた為に中国問題が途切れ
てしまいました。今回は中国シリーズNO3としてアメリカはトランプ大統領
に よってやっと目覚めた「中国幻想」について考察してみます。
日本もアメリカも過去、中国政策において多くの間違いをしてきました
こと中国に対する時、その幻想がもたらす害たるや、まことに深刻なものが
あります。アメリカ人の中国観も東洋の神秘というロマンチシズムに覆われ
て「暗黒の中国」が見えていませんでした。ヘンリー・キッシンジャーが中
国の竹のカーテンを開けて以来、アメリカの多くの学者、政治家・企業家達
が中国を訪問しています。しかし長く彼らは中国を「東洋の神秘」としてみ
ていた為に中国の実像を正しく見る目をなくしていました。
特に外交顧問をしていたキッシンジャーはクリントン元大統領に間違った中
国観を植え付けました。クリントン政権第一期目にキッシンジャーの推薦で
ハーバート大学教授であるジョセフ・ナイという中国専門学者が政権入りし
ています。この学者によってクリントンは誤った中国第一主義政策をとり
日本を無視し過酷なまでに日本叩きをしました。
キッシンジャーや学者たちは、「やがては中国も近代化し、資本主義開放経
済への道を進む、そして我々の資本主義社会の一員になる」と信じていたの
です。中国はこの中国への「思い入れ」を利用し日本やアメリカを操ってき
ました。
世界中に中国幻想を振りまいた最大の罪はパール・バックの「大地」だと思
います。このノーベル文学賞をもらった「大地」によって初めて欧米人に、
神秘な国中国というものを開いて見せました。そこに描かれている幻想中国
によって、なにか非常にロマンチックな妖しいまでに美しい「情念の中国」
というイメージを植え付けてしまいました。
それとアメリカ人に誤った中国観を植え付けたのは、大犯罪者はエドガー・
スノーの「中国の 赤い星」です。彼は一貫して中国礼賛を綴っています。
彼は日本が嫌いで 「アジアの戦争」を書き、有りもしない南京大虐殺を世に
広めました。 この影響が大きくてアメリカ知識人をして未だに暗黒中国を見
えなくさせて います。
キッシンジャーは中国工作資金によって完全に中国工作員になり、世界中
に中国幻想を振りまきました。この老人はオバマ政権の前半まで外交顧問
をし、間違った中国政策を進言していました。
しかし幸いなことにトランプ大統領は現実しか見ません。中国は改革開放に
より自由社会の一員のように振る舞い、資本主義社会の果実を自らのもの
としました。
何もしないオバマ大統領は世界の警察官をおりると宣言、調子に乗った習近
平は、東シナ海、南シナ海を、「法の支配」でなく「力による支配」で現状
変 更を目論むと同時に、人民元の国際化を要求、人民元を世界の基軸通貨
と してドルと同等の通貨にしようと画策しました。
しかも日本も欧米も最近の中国の厚顔無恥な人格や、止まらない軍拡、農
民の暴動、偽物の中国製品、チベットやウイグルの大虐殺を目の当たりにし
てやっと危うい暗黒中国の真実が見えてきました。
トランプは南シナ海に人工島の建設を進める中国に対して、「航行の自由作
戦」を開始し、武力による圧力をかけ始めた。そして、やっと中国幻想から
覚め始めたイギリスやフランスなど各国は、保有する海軍戦力を南シナ海
に集結させ、アメリカと共同行動を取り始めた。
中国はそんな中、習近平体制になって中国的覇権主義、社会主義による世
界支配みたいなことを言い出す始末。本来中国が我々西側の諸国に入って
いく時の条件、約束とは、最終的にすべて自由化するから自由主義陣営に
入れてくれと言ったはずです。ところが習近平体制になったら国家主席の任
期を廃止してしまった。つまり社会主義体制に戻ると遠回しに宣言したので
す。それでは話が違うだろう言うのがトランプです。そこでトランプは中国
排 除に動き始めた。それが米中貿易戦争です。
習近平は、中国からヨーロッパ、アフリカまでを一大経済園としてつなぐ
「一帯一路」を推進しているが、各国が中国の融資をことごとく断っています。
それは金利が高くで最後はインフラの権利を中国に取られかねないからです
鄧小平以降、中国は改革開放路線を掲げ、自由社会の一員として国際化す
るという公約のもとで発展して来ました。胡錦濤も江沢民も鄧小平の思想を
ポリシーとすることで、急速な経済成長という恩恵を受けてきました。
しかし習近平は絶対権力者としての立場を強固にするために、共産主義、
社会主義化を再び進めるという先祖返りを加速させています。これに危機
感を感じたトランプは安全保障の面においても看過できないと、中国潰しの
ため米中貿易戦争を仕掛けたという次第です。
日本の誤った中国観は遣隋使や遣唐使が持ち帰った膨大な漢籍を勉強した
学者達によるものです。2000年以上前の漢文や漢詩を深く研究した近代中
国学者によって中国の抜き難いイメージが出来上がってしまいました。
しかしトランプは世界各国に中国を選ぶかアメリカを選ぶかという踏み絵を
迫っています。日本は経団連やマスコミなど、中国との友好関係を求める力
が働く中で、安倍首相は経団連に配慮しつつ、アメリカとの関係の方がより
重要であるとの方針を明確にしています。
トランプは世界を分断し始めた。同時に中国に取られた地域を取り戻すた
めに各国と連携して、中国排除に乗り出しています。
これで、中国の未来のドアは完全に閉ざされてしまいました。
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