前回はプーチン大統領の恐るべきテロ工作を暴きましたが、しかしロシア
側から見れば、ロシアを生き返らせるのは悪人プーチンしかいないと私は
思っています。
例えば「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」と言われた織田信長は浅井・
朝倉に味方した比叡山延暦寺を焼き討ちしました。この行為だけ見れば信長
は冷酷無慈悲な人物と思われますが、神そのものを否定していたわけでは
ありません。
延暦寺の坊主は、勝手に関所を作り通行税を取りまくって、酒を飲み、女を
かどわかして暴行をはたらき、祈らない坊主でした。だから焼殺したのです。
つまり私が言いたいことは天下を取る目的が自分のためだけでなく、民の
ために天下を統一して戦いのない世の中を実現させようとしたのです。その
証拠に彼の掲げたスローガンは「天下布武」です。
天下布武とは、七徳の武を持って天下を治めるという意味です。つまり暴を
禁じ、戦いをやめ,巧を定め,民を安んじ、衆を和し、財を豊かにするとい
う意味です。
信長が基礎をつくり、秀吉が戦いのない社会を実現し、家康が改良し、総仕
上げをして平和な徳川265年の統治が出来たのです。当時の江戸の町は人口
100万人に達し、世界最大の都市になっています。江戸時代300年近い平和
が日本人を熟成させ今日の繁栄をもたらしたのです。
プーチン大統領と織田信長を比べるのはかなり無理がありますが、しかし奇
麗ごとで判断をしてはいけないということです。プーチンがロシアでおこ
なっている行為は、ロシア上院の権威を低下させ、旧ソ連国歌の復活をやり、
FSB(KGB)の昔の仲間たちを政府の要職に抜擢など、決して現代の民主的
指導者などではありません。
そしてロシア国内のテロ行為はロシアの情報機関が行い、チェチェン戦争を
誘発するためにチェチェン人の犯行に見せかけるなどとても許される行為で
はありませんが、100年後後世のロシア歴史家はプーチンの行為を評価する
かもしれません。但しロシアの国民が今よりも豊かになっていることが前提
ですが。
だから彼はロシアの国民を豊かにするために突出した技術力とお金を持って
いる日本を北方領土返還を疑似餌にして近づいてきたのです。プーチンも
自国の利益と生存を賭けて必死なのです。
プーチンがシベリア・極東開発に日本を誘う背景には、中国の存在があり
ます。当初2000年に大統領になったプーチンは経済発展をした中国の資本を
受け入れることを決めた。シベリアの石油ガスを中国に運ぶパイプラインが
建設され、極東の諸都市には中国人労働者や中国商売人がどっと押し寄せ、
街は中国語の看板で満ち溢れ、あっという間に街が中国化してしまい、
しらぬ間にシベリアや極東の経済利権をほとんど中国人に奪われてしまった。
慌てたプーチンは日本や韓国、シンガポールなど、中国以外のアジア諸国の
企業をシベリア極東開発に招致し、中国色を薄めることに躍起になり始めま
した。
しかし日本は歴史的教訓によりロシアを全く信用していない。昭和20年8月
9日、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、満州国、朝鮮半島。樺太、
千島列島などに侵攻しました。
当時満州には男はほとんど南方戦線に送られ、満州に残っていたのは9割以
上が女子や子供だけでした。日本の娘たちが次々にソ連兵に犯され、最後は
機銃掃射を加え虐殺されました。
また終戦後武装解除し投降した日本軍人をシベリアやモンゴルに労働力とし
て移送し,厳寒環境下で満足な食事も休養も与えられず、過酷な労働を強要
させられ多くが死んで行きました。国際法に背く許されないものでした。
1993年に訪日したエリツィン大統領は「非人間的な行為に対して謝罪の意
を表する」と表明しました。
エリツィン大統領が自国の恥ずべき歴史を知っているということは、当然
プーチンも知っているはずです。ところがプーチンは2006年のサハリン2事
件でまたまた日本を裏切りました。
樺太で「サハリン2」という石油・天然ガスプロジェクトが計画された。
この計画は、ロイヤル・ダッチや日本の三井・三菱商事の3社が主体で199
4年に設立されました。日本は世界的なロイヤル・ダッチ・シェルが55%の
株保有に安心してこの計画に乗りました。
ところがロシア政府に6%の利益しか入らないことを知ったプーチンは突然
2006年になって環境問題を理由に中止を言い渡しました。環境破壊という
理由は、ロシア企業を参入させるための口実で、最終的にロシアの国営企業
であるガスプロム社が51%の株を保有して実権を握ってしまいました。
日本はロシアを信用出来ない国だと改めて認識しました。
(ロシアの闇その3は次回にて)
